第15回生ごみリサイクル交流会2007
良質な堆肥で広がる地産地消の大きな輪
生ごみを堆肥(たいひ)化し、リサイクルすることで、循環型社会を実現し、地産地消で地域の活性化を図る「第十五回生ごみリサイクル交流会2007・生ごみは宝だ!」が八月二十八日、東京都の早稲田大学国際会議場で開かれ(写真〈写真はありません〉)、自治体関係者、消費者ら約四百十人が参加しました。
生ゴミ堆肥で楽しく元気にものづくり
リサイクル農業で村づくり推進
長野・高山村
午前中の全体会では、各地のリサイクル事例を発表。出湯(いでゆ)とりんごの街、信州・高山村からは、二十五年に及ぶ環境保全型農業推進の村づくりの実践が報告されました。
一九五五年以来、ベッドタウン化による人口の急増でごみ問題は村の大きな課題に。当時、焼却による処分が一般化するなか、資源循環型農業にいち早く着目しました。八二年から生ごみ、家畜ふん、エノキ栽培の廃オガ粉などを高速発酵させた独自の有機堆肥(フクイハラコンポ)を生産し、農地に還元する施設を設置しました。
村はさらに、害虫のメスが交尾のために発する性フェロモンを人工的に作り、果樹園一面ににおいを充満させ、害虫の発生を抑えることにより農薬の散布回数を減らす減農薬栽培など、安全・安心な農産物栽培に取り組んでいます。
農村女性の地位向上に貢献するための活動も盛んで、農家の女性グループ「かあちゃんの会」が開く直売所は、堆肥育ちの安全・安心な新鮮野菜が並び、生産者と消費者との交流の場になっています。
交流会で報告した果樹農家の松本由里子さん(60)も「かあちゃんの会」の一員。「フクイハラコンポを使うことで、コクのあるおいしいリンゴの生産ができる。農家のお母ちゃんたちは、安全・安心でおいしい野菜を消費者に届け、学校給食にも提供しようと張り切っています」とのべ、大きな拍手を浴びました。
有機栽培を奨励する町独自制度
福井・池田町
午後は四つの分科会が行われ、「農家が喜ぶ良質堆肥で地産地消の環(わ)」分科会では、自治体や企業の取り組みが紹介されました。
福井県池田町の農林課参事、辻勝弘さん(写真〈写真はありません〉)は、「活(い)かせ!農村力…紙袋と心でつなぐ食Uターン事業」を報告しました。家庭などからの生ごみを新聞紙で包み、紙袋に入れて回収したもの、牛ふん、もみがらの三種類を「あぐりパワーアップセンター」で混ぜ合わせ、良質の堆肥としてよみがえらせる「食Uターン事業」を実施。製造された堆肥は、「土魂壌」(どこんじょう)として販売しています。
こうして農薬や化学肥料をできるだけ使わない農産物の栽培を奨励する町独自の認証制度「池田町ゆうき・げんき正直農業」を実施しています。
「食・農・いのち つなげる生ごみリサイクル」のテーマで報告した有限会社ドミソ環境(本社・長野県下諏訪町)の牧野勝副社長(写真〈写真はありません〉)は、近隣自治体や企業・事業所などから生ごみのリサイクル事業を受託し、良質な堆肥を農家に届け、消費者との信頼関係を築いている事例を報告。
「堆肥を使って有機栽培に替え、野菜やごはんの味は自慢。ホテルやレストラン、近くのスーパー、保育園などに引き取られ、張り合いがある」(農家)、「安全な野菜や米が届き、安心。客に喜んでもらえる。子どもたちはトマトやニンジンがおいしいと正直」(ホテル、保育園)などの声を紹介しました。
(新聞「農民」2007.9.10付)
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