中国に米輸出〈上〉“はしゃぎすぎは禁物”
1俵12万5千円の宣伝費「攻めの農業」の切り札とばかり中国の北京と上海で七月二十六日、四年ぶりに日本産の米、新潟産コシヒカリと宮城産ひとめぼれの二種類、計二十四トン(四百俵)が販売されました。二キロ入り袋の値段は、コシヒカリが日本円で約三千二百円(百九十八元)。ひとめぼれが日本円で約三千円(百八十八元)。この日本産米を扱うのはJA全農です。中国の一般家庭で購入する米は二キロで約百六十円(十元)程度で、日本産米とは約二十倍の価格差。政府・与党は「攻めの農業」の切り札とばかりに、北京市の太平洋百貨店で開かれた販売開始のセレモニーには、バンソウコウ顔の赤城徳彦農相(当時)が出席。「世界中で日本の米を食べてもらう第一歩」とあいさつ、「年内に二百〜三百トンを輸出したい」と関係者は意気込んでいます。農水省も約五千万円の広告費をかけて、販売キャンペーンを展開。実に一俵あたり十二万五千円もの宣伝費です。また中国にはすでに、「コシヒカリ」が「越光」、「ひとめぼれ」が「一目惚」の商標登録があり、このため米の袋に“バンソウコウ”を張ってブランド名を隠し、「新潟県産」「宮城県産」とだけ表示して販売。最初から、ブランド戦略にタガをはめられた格好となりました。
余りに高い米にあきれ顔の庶民上海の高級百貨店・久光百貨では特設コーナーが設けられ、発売初日に五百袋(二キロ入り)売れたそうです。購入したのは、主に外国総領事館員や香港のビジネスマン。上海にいる富裕層は約五十万人、日本食レストランは二百軒以上あり、販売拡張を見込んでいます。しかし一般庶民は、超高価な米にあきれ顔。「普通のサラリーマンには、こんな高い米は買えない」。さらに、「日本の米を二十四トン買えば、中国では千戸の村が一年食っていける」といった批判の声も聞こえます。(つづく)
(新聞「農民」2007.9.3付)
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[2007年9月]
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