米屋さんと生産者をつなぐ交流会 東京
熱意ある生産者に会えてホッと
期待の大きさを感じた、もっと作付け増やしたい
関連/農家の米づくりへのこだわりヒシヒシと
農家の顔が見えるお米を、卸や米屋さんを通じて消費者に届ける準産直米に取り組む農民連ふるさとネットワークは、八月十九日、東京・文京区民センターで「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」を開きました。猛暑のなか、生産者、お米屋さんら二百人近くが集い、交流しました。(写真〈写真はありません〉)
生産者と米屋さん 自由交流
生育状況・栽培方法聞き取りも
米屋も安ければよいと思わない
農民連ふるさとネットワークの堂前貢代表が主催者あいさつ。「品目横断対策の申請は、米で二六%にとどまり、残りの七四%は米価が下がってもなんら助成されない。さらに全農は今年産から、一俵七千円の内金方式で集荷しようとしているが、これは農家のことなどおかまいなしに、売れ残れば加工用に回して全農が損をしない仕組みだ。私たちは、生産費を償い再生産可能な米価をめざしていく」と訴えました。
日本米穀小売商業組合連合会(日米連)の長谷部喜通理事長は「われわれ米屋は、仕入れる米が安ければよいという考えは持っていない。量販店との価格競争に走るのではなく、生産者と小売り・卸がますます交流を深め知恵をしぼり、お互いに適正な報酬を得られる関係を作っていかなければならない」とあいさつ。また参加した卸を代表して、東京山手食糧販売協同組合の大林正孝業務部長は「熱意ある生産者に会えてホッとしている。生きた情報を米屋さんに伝え、消費者の声を生産者につなげたい」と述べました。
各産地からは、今年の作柄、栽培の特色、銘柄などについて、代表者が報告。別室では、全国各地から干しシイタケやパイナップルなどの加工品や農産物、分析センターのコンビニおにぎりの実験などが展示され、米屋さんから大きな関心が寄せられました。また十九年産の千葉ふさおとめなどの試食コーナーも設けられ、新米の味に会話が弾んでいました。
日販連加盟の農協も初参加
産地と米屋さんの自由交流では、各所で名刺交換が行われ、生育状況や栽培方法などを聞き取る姿があちこちでみられました。
兵庫・豊岡エコファーマーズの田中定さんは「多くの米屋さんにコウノトリ米を知ってもらい、私たちの取り組みを支えてもらういい機会になった。遠くから来た甲斐がありました」。二十四ヘクタールで米づくりをしている福島・会津美里町の福田與作さんは「米屋さんから“品質は申し分ない。もっとほしい”と言われ、期待の大きさを感じた。無農薬の作付けをもっと増やしたい」と話していました。また日本販売農業協同組合連合会(日販連)加盟の庄内みどり農協、(株)宮城加工連、茨城やさと農協が初めて参加しました。
じかに農家の話聞けてよかった
一方、静岡市から参加した小田米穀の小田礼吾さん親子は「お客さんは農家のことを本当に知らない。どう農家の苦労を伝えられていけるのか、じかに農家の話を聞けてよかった」と交流に満足していました。大田屋(東京・大田区)の小田幸男さんは「今、一番やりがいを感じている。お米は物語とロケーションがキーワード。買ってくれたお客さんが産地の様子を想像できる、そういうお米をお客さんは求めている。そういう情報を生産者とどう作っていくのかが大切ではないか」と話していました。
若い米屋の会のメンバー・米寅(静岡・浜松市)の
加藤 謙吾さん(29)
若い米屋の会は四十人くらいで、研修会を開いたりインターネットで情報交換や経営上のことなどを話し合っています。
規制緩和で米屋はたいへんですが、こういう厳しい時こそやりがいがあります。新しいお店では、十二種類の玄米を用意してお客さんに選んでもらっています。いま口コミで二十代、三十代の子育て世代を中心に、一日一人の割合で新しいお客さんが増えています。
仕入れたお米がどういう苦労と思い入れがあって作られたものなのかを、お客さんに伝えていくことが変化につながっていくと思います。交流会に参加して、農家の米づくりへのこだわりや情熱をひしひしと感じることができました。
(新聞「農民」2007.9.3付)
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