食糧主権国際フォーラムに参加して
直接民主主義から生まれる未来への提言全日本教職員組合 長谷川英俊さんマリ共和国は、世界で最も貧困率の高い地帯にあります。私たちは近代的な竪穴式住居を思わせる「宿舎」で寝泊まりし、会議に参加しました。会場のセリンゲ村の一日は、朝五時半、イスラム教徒のコーランを捧げる声で始まります。昼は四〇度近くになり、熱射を遮る屋根だけがついた会場で、世界の代表は議論を続けました。意見をぶつけ合い、異論が出れば立ち戻って練り上げる。その直接民主主義の熱は驚くべきものでした。 何よりうれしかったのは、世界的な運動の担い手の話を直接聞くことができたこと。世界的な農民組織、ビア・カンペシーナのヘンリー・サラギ氏は「各国の農民同士は、死の競争に追いやられている」と、象徴的な言葉で問題をえぐり出しました。 モザンビークの農民組織の女性委員長との懇談も、衝撃的でした。干ばつと洪水が繰り返され、男は外国へ出稼ぎに行き、農業は女性と子どもが担う。植民地支配下だった七五年まで学校に行くことを許されず、私は今、農作業後に夜間中学で学んでいる―というのです。こうした世界の状況の理解を助けてくれたのが、農民連の雑誌『農民』でした。 私は、「米と子どもは日本の宝」をスローガンに、教師が農民と一緒に運動していること、学校給食で地農地食を追求していることを報告。世界の代表は、日本から子どもをはぐくむ教師が参加したことを喜んでくれました。マリの子どもの笑顔はすばらしく、小学生たちの「別れの歌」の歌声が心に響きました。世界は進歩に向かって音をたてて動いている―そのことを実感した一週間でした。
(新聞「農民」2007.3.26付)
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[2007年3月]
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