“食糧主権の大波起こそう”
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真嶋 農民連の中では食糧主権宣言のリーフレット版を出すという話が持ち上がっている。これなども利用してもっと宣伝していきたい。それから、五月に予定されているフォーラムの報告会は環境NGOをはじめ、日本のNGOに幅広く呼びかけたいね。
斉藤 企業の支配に対抗し、国民が本当に願う食糧を供給していくには、やっぱりものを作る仲間を増やさないといけない。そのためにも、コストに見合う価格保障など、作ることに役立つ政策課題の提起もしていきたい。
もう一つは、世界の人口の二%に過ぎない日本が、国際市場に流通する食糧の一〇%を買いあさっている現実を紹介して自給率向上は、日本の国際的な責務だと。
帰国して知ったことだけど、農水省が経済財政諮問会議のワーキンググループに、完全自由化したら自給率が一二%に下がるという試算を出している。諮問会議も農水省も、飢餓の絶滅や食糧主権の実現の対極にあると、つくづく感じた。
「ニエレニ宣言」は「世界中のどのたたかいも、食糧主権確立をめざすたたかいとしては一つのものだ」と強調している。私たちも、食糧主権を国民的に宣伝すること、食糧主権実現に近づくプロセスとして重視されている地産地消の運動を発展させること、さらにフォーラムでも強調された政治の変革のためにがんばりたい。
その言葉通り、フォーラム会場のあるセリンゲ村は首都のバマコからバスで三時間かかり、地元で作られたもの以外はほとんど手に入りません。参加者の食事はすべて、セリンゲの女性たちが作ります。香ばしい揚げパン(アワが原料)、フレッシュな野菜や果物、中でも絶品は牛や羊を骨から内臓まで丸ごとじっくり煮込んだスープです。
早朝、けたたましい獣の鳴き声で目が覚めました。台所をのぞくと女性たちが、かまどでパンを揚げています。その影では男性が、おのを振り上げて牛の解体作業の真っ最中でした。
また、五百人収容の会議場も、宿舎になった半径四メートルほどの小屋も(百棟以上)、地元の人が建てたもの。終われば、マリの農民組織に寄贈され、研修施設として利用される予定です。
電気工事に携わっている地元の青年、ブラウさんと仲良くなりました。帰りの後片付けを手伝ってくれ、デジカメを借りて喜ぶ、その気遣いの細やかさと生き生きとした目が印象に残りました。
懇談したモザンビーク全国農民連合のディアマンティーノさんは「モザンビークの男性は植民地時代に、イギリスによって南アフリカの炭鉱労働に連れて行かれ、地域の生産は女性が担わざるをえませんでした」と言います。十六世紀から三世紀続いた奴隷貿易による人口流出と、その後のヨーロッパ強国の植民地支配がアフリカの苦難の根源であり、そして今も続く欧米のプランテーション農業と主要穀物のダンピング輸出が飢餓を継続させているのです。
地域の農民組織のリーダーを務めるレベッカさんは、バナナを中心にサツマイモ、キャッサバ、サトウキビを作っています。十五年前に夫を失い、女手一つで四人の子どもを育てました。そして今、植民地時代に奪われた教育の機会を取り戻そうと夜学に通っています。そのたくましさが、世界的な食糧主権を求める運動とあいまって、いつか必ずアフリカの未来を切り開くと強く思いました。
[2007年3月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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