「農民」記事データベース20070312-771-10

旬の味


 三月に入っても暖冬は続いている。岩手・盛岡ではこの冬、真冬日が一日もなかった。盛岡地方気象台の話では、一九二四年(大正十三年)に観測をはじめて以来のことだという▼農村では年の初めに、その年の豊凶を占うさまざまな行事がある。花巻地方では石鳥谷町の「たろし滝」の氷柱の太さ具合で占う。たろしとはつららのこと。大豊作の年には太さが八メートルにもなったそうだが、今年はその滝が凍らない。神事を司る神主さんが頭をかかえていた▼今年の農業気象は良くない予報が多い。山間部では雪が降らずため池が干上がり、田植えができるかどうか心配だ。冷害で不作だった一九八〇年の天候に似ているといううわさも▼自然の動きはお天道様しだいだが、いま農村は、品目横断対策で揺れている。こっちはまったくの人災、政治災害だ。種もみを漬け込み苗箱に用土を準備し、今年の稲作のはじまりを前にして、農民は不安にさいなまれている。話し合いに出て行くチャンスだ。ちょうど天気も良いではないか。

(実)

(新聞「農民」2007.3.12付)
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2007年3月

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