「農民」記事データベース20070312-771-09

食の主役は私たちです

自分は一人じゃないんだ!

青年の主張全国大会に出場した
北海道農民連・空知中央農民組合 白石 陽一さん(30)

関連/ジャガイモ種芋 今年も植え付け


仲間に悩み打ち明け 家族とのふれあい強め

地域・仲間を大切にしたい

 仕事に熱中し家族を犠牲に

 はじめに「みなさんはこれから、どんな農業に取り組みますか?」と、問いかけた白石さんは、大学卒業後、スーパーに勤め農産コーナーを担当。新鮮な野菜を仕入れるため、地元の農家へ何度も足を運び、「輸入野菜よりも、やっぱり地元だね」と大きな反響を得て、仕事に楽しさを感じていました。

 「そんなとき、ひとつの転機が訪れました」。それは、長男がぜんそくと診断されたこと。仕事に熱中するあまり、家族を犠牲にしてきたと反省した白石さんは、自然あふれる田舎へ帰ることを決めました。

 両親は、経営面積十三・五ヘクタールで主に水稲を作っていましたが、米価下落の影響で収入が減少。「農家をやるからには農業収入だけで家族を養いたい」と強く思い、父親の淳一さんが長年にわたり栽培してきたタマネギに力を入れることに。安全な野菜を食べてほしいという思いから、エコファーマーの認証を取得し、家族の写真を小袋へ印刷しました。

 農業の魅力を再認識できた

 しかし白石さんには「農業を始めてから大きな間違い」がありました。それは、タマネギの生産を急いで拡大するあまり、土壌条件を無視して作付けした結果、売り物にならなくなり、家族とのふれあいすら忘れていたことでした。

 そんな時、仲間に自分の悩みを打ち明け、経営方法を聞き、意見をぶつけ合いながら「自分は一人じゃないんだ!」と気づきます。それからは、どんなに忙しくても、家族との時間を取り、子どもたちにも自分の仕事を見せることができるようになりました。そして、長男のぜんそくもすっかり治ったのです。

 仲間との出会いによって、一人では気づけなかった農業の魅力を再認識した白石さんは、この仲間や地域を大切にしたいと思い始めました。

 最近うれしかったことは、タマネギの選別作業をしている地元農家のお母さんたちが、「冬の間は仕事がないし出不精になるけど、ここに来るとみんなと話せて楽しい」と言ってくれたことです。

 何より大切な事に気づいて

 「仲間と力を合わせ、『食の主役は私たちだ!』という強い信念で、消費者へ日本の農産物をアピールしていこうではありませんか」と訴える白石さんは、最後にこう結びました。「何より大切な事を気づかせてくれた農業、仲間にありがとう!」と。


ジャガイモ種芋 今年も植え付け

埼玉・春日部楽農倶楽部

 「ジャガイモづくり二年目の挑戦」――埼玉・春日部楽農倶楽部は二月二十二日、ジャガイモの種芋を三人で植え付けました(写真〈写真はありません〉)。品種は「キタアカリ」。

 同倶楽部の高橋勝子さん(会長の奥さん)が四等分に切った種芋に灰を混ぜ合わせ、六十センチごとの間隔で掘った溝に三十センチの間をあけて植えていきました。勝子さんに教わりながら植え付け、二時間弱で十畝を植え終わりました。六月の収穫が楽しみです。

 二年連続で参加した会員の奈須和子さん(77)は、「医者から体を動かすようにと言われていますが、種まきでも草取りでも農作業はリハビリに最適」と話しています。町の歩道を三十分も歩くと腰が痛くなるが、畑の土では痛みはないという奈須さん、米田千賀子さんの応援で予想より早く終わりました。

(春日部楽農倶楽部・西村正昭)

(新聞「農民」2007.3.12付)
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2007年3月

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