対豪FTA タイ農業からの教訓開けてビックリ!農産物輸入が急増
対オーストラリアFTA(自由貿易協定)交渉の開始で、日本農業や地域経済への影響が心配されています。日本よりも一歩早く対豪FTA協定が、〇五年一月に発効したタイでの結果が注目されます。
輸出が伸びたのは日系企業の製品タイ政府が対オーストラリアとのFTA交渉で最も重視し期待したのが、米、熱帯果実、生ゴム、加工食品などの農業分野でした。しかし、初年度における公表された貿易実績を見ると、輸出が二九%の伸びに対し、輸入が四八%と大きく伸びています。しかも、輸出で拡大したのは、繊維・衣料、電気製品、自動車など、そのほとんどが日系メーカーを中心とする工業製品でした。それとは対照的に、輸入が増加したのは、野菜・果物とその加工品(六七%増)、穀物・加工穀物(六二%増)、酪農製品(四二%増)などの農産品でした。 品目別にみると、関税率が四二%から三〇%に引き下げられた豚肉の輸入量が七倍に増えたほか、四二%から〇%になったアボカドが三倍、関税割当枠が拡大された脱脂粉乳が二倍半、関税ゼロとされた麦芽が二倍など、農産物の輸入が急増しています。
FTAは小規模農民を苦しめているFTAが利益に結びついたのは多国籍大企業だけという結果が、初年度から国民の目に明らかとなり、政府研究機関や国立大学による分析結果の報告書からも、FTAが人口の半数を占める小規模農民を苦しめていると、厳しい警告が発せられています。いまタイでは、昨年九月のクーデターで発足した暫定政権のもと、日タイEPA(経済連携協定)の締結は、いま棚上げ状態となっていますが、その協定内容に、日本から産業廃棄物や医療廃棄物が無税で持ち込まれることが明らかにされ、農民や市民からFTA反対運動が燃え広がっています。 (山本博史)
(新聞「農民」2007.3.12付)
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[2007年3月]
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