「農民」記事データベース20070305-770-11

旬の味


 旅先のテレビから、トラクターでキャベツやダイコンを畑にすき込むシーンが流れていた。「もったいない」という文字、そしてこの廃棄補てんに国民の税金が何億円も使われているという言葉。むらむらと怒りがこみ上げてきた▼トラクターに乗っている農民は機械じゃないんだよ! その表情に、洪水のように増え続ける輸入農産物の影が重なる▼昨年の秋口、地元の小学生といっしょにダイコンの種まきをした。土を持ち上げる双葉のエネルギー、大きく成長したダイコンをかわいい手で引き抜く瞬間―“いのちの声を聞いてほしい”と子どもたちに話した。抱えるようにして家庭に持ち帰り、残りは切り干し大根に。栄養士の先生にお願いして給食でいただくことにしている▼白い花が咲き、新しいいのちが芽生える営みのように、子どもから先生や保護者に農家の思いが伝われば、WTOや日豪EPA交渉と対峙(たいじ)し、食糧主権の確立で日本農業を守ろうという大きな世論ができると確信している。

(畑)

(新聞「農民」2007.3.5付)
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2007年3月

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