「農民」記事データベース20070122-764-01

スペイン

ビア・カンペシーナ第2回中期会合に参加して

農民連青年部・杵塚 歩

関連/農民連青年部第15回総会

 ビア・カンペシーナ第二回中期会合とスタッフ研修が十二月十一〜十七日、スペイン南部・アンダルシア地方のマラガで開催されました。この中期会合は、最高の意思決定の場である四年ごとの総会の中間点で開かれるものです。私はこれに、東南・東アジアの青年代表として参加。食糧主権を中心にして世界が共通の目標を掲げて動き出していることを肌で感じるとともに、各国の農業青年たちと言葉や文化の壁を超えた交流ができました。


肌で感じた
食糧主権の確立が世界共通の目標に

 協同組合つくり土地・農業守る

 アンダルシアはスペインで生産される農作物の実に二〇%が生産されるほどの農業地帯です。オリーブ、オレンジ、ブドウ、アーモンド、野菜などが生産され、国内だけでなく他のEU諸国へ輸出されています。広大な土地を大地主が支配した歴史の中で、人々は協同組合を組織し、土地を手に入れて農業を守ってきました。私たちが訪れた協同組合でも共同出資で農地を取得し、施設や機械を共有するなど農民の要求に応じた組織がつくられていました。

 マラガは農業地域であると同時に、海岸沿いは有名なリゾート地でもあります。そのためゴルフ場やホテルの建設計画を進める企業と、それに反対する地域住民との間で、激しい衝突が繰り広げられていました。とても印象的だったのは、このたたかいには農地を守ろうとする農民だけでなく、水資源や環境を守り、後世に残すためにさまざまな分野の人々が力を合わせていることです。

 市長を招いての意見交換会や地元テレビ放送での公開討論、町全体のストライキなど、その多様な活動には民衆の強さを感じました。ビア・カンペシーナ各国代表は連帯スピーチを送り、世界中で同類のことが起きていること、そして問題解決には強い連帯と食糧主権を広める必要性を強調しました。

 国連やFAOの報告に盛り込む

 中期会合には、三十五カ国六十人の代表が参加し、新自由主義に対抗する新しい流れをつくりだす、より強力な組織づくりのための議論が交わされました。この新しい流れの基本に据えられているのが食糧主権です。

 地域や国によって政治、経済、社会的背景は異なっても、農民の直面するさまざまな問題の根源には新自由主義政策があります。これに対する根本的な対案として、ビア・カンペシーナは食糧主権を主張し、地域活動と並行してFAOや国連などの国際機関、政府への働きかけも行っています。そして国連やFAOの報告に食糧主権が盛り込まれたことは、食糧主権が世界的に受け入れられはじめている証(あかし)です。

 今年二月にはアフリカのマリで、ビア・カンペシーナなどが主催して食糧主権国際フォーラムが開催されます。

新しい流れづくりへ
熱い交流そして連帯・友情厚く

 言葉や文化の壁こえ青年も交流

 食糧主権に加えて、組織内外の連帯の強化についても深い議論がされました。地域(ローカル)、国内(ナショナル)、国際(インターナショナル)といったさまざまなレベルでの交流の必要性、円滑な情報交換、他団体との協力などの実践報告に合わせて、改善点なども話し合われました。

 青年代表として参加して一番印象に残っているのは、他地域から参加した青年たちと青年会議をもったことです。全員で十人足らずの少人数でしたが、それぞれの状況報告や今後の活動計画など、言葉や文化の壁を超えた交流ができました。

 地元には若い農業者がほとんどいないというドイツから参加した青年が、「ここでみんなと語り合ったことは決して忘れない」と最後に熱く語った言葉は、とても印象的でした。日本でも若者の農業従事者は数少なく、ほとんどが孤立しています。活動を通して人と人とが交流し、語り合い、結びつく場をもっと増やしていくことが、運動のさらなる発展にもつながると感じました。

 最終日にはオリーブの木を植樹し、食糧主権の確立と、さらなる連帯と友情を確かめて総会を締めくくりました。


○2月12日(月)午後1時〜13日(火)
○ふたき旅館(東京都文京区本郷)
○参加費 1万円
 問い合わせ・申し込み=農民連本部青年部

(新聞「農民」2007.1.22付)
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2007年1月

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