「農民」記事データベース20070115-763-10

食べものに薬効あり

橋本紀代子


ミカンの薄皮・すじも食べよう

『みかんの花咲く丘』は、小学生のころの愛唱歌でした。東北生まれの私はミカンにあこがれ、「ミカンの木が見たい」という理由だけで、学生時代に南紀(和歌山)を旅しました。温かい人情にも出会えた貴重な体験でした。

 ミカンの果肉にはビタミンCやクエン酸が多く、肌に潤いを与え、免疫力を高め、カゼの予防や疲労回復などに役立ちます。また、口の渇きをいやし、吐き気を止め、尿の出をよくする効果もありますから、酒の酔いを早くさまし、二日酔いの予防にもなります。

 漢方では古くから、未熟なミカンの果実を「枳実(きじつ)」といい、胃薬やがんの治療薬として用いてきました。胆汁をつくり、炎症を抑え、腹痛を止める働きなどもあります。熟したミカンの皮を乾燥させた「陳皮(ちんぴ)」は、多くの漢方薬に配合され、気のめぐりや胃腸の働きをよくする、せきを止めるなどの働きをします。

 ミカンの皮のだいだい色の下にある白い部分には、ヘスペリジンという物質が多く含まれています。これは血管を丈夫にする働きがあり、出血を予防しますので、動脈硬化や高血圧、脳卒中の予防に役立ちます。ヘスペリジンは果肉を包む薄皮やすじにも含まれていますから、薄皮やすじも一緒に食べましょう。

 鏡もちの上にも、こたつの上にもミカン。お正月には欠かせない果物です。ミカンの消費量が、もっと伸びるといいですね。

(新聞「農民」2007.1.15付)
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2007年1月

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