「農民」記事データベース20070115-763-08

韓国

東学農民革命戦跡を訪ねて 》上《

 昨年十一月中旬、富士国際旅行社が企画して「中塚明先生と行く韓国・東学農民革命戦跡を訪ねる旅」が行われました。
 東学農民革命とは、いまから百十二年前、一八九四年から始まる日清戦争のときに、東学農民を中心にした朝鮮近代史上はじめての大衆的な民族運動であり、日本がはじめて直面した抗日民族運動です。東学とは、「人すなわち天」=万人は平等という思想です。韓国では長い間、東学農民軍に参加した人たちは“匪賊(ひぞく)”と呼ばれてきましたが、一九七〇年代以降の軍事政権に対する民主化運動の起源がこの東学農民革命にあるとのあらたな評価により、二〇〇四年の国会で「東学革命参加者と遺族の名誉回復特別法」が成立しました。
 この旅行に参加した感想などを報告します。
(赤間 守)


抗日運動を現地で学ぶ

日韓市民レベルで交流も実る

 長い長い自己紹介

 中塚明さん(77歳)は奈良女子大学名誉教授で、日清戦争をはじめ日韓近代史の第一人者です。たいへん印象的だったことは、韓国の人たちが「日本の良心」という枕詞(まくらことば)を述べて先生を紹介していたことでした。この旅行は一般公募でしたが、各地で市民運動に取り組んでいる人たちなど二十五人が参加しました。移動中のバスで行った自己紹介は、延々三時間余りにもおよび、現地ガイドの孫順徳さんから、「こんなに長い自己紹介ははじめて聞いたよ。みんなドラマね」と感心されました。

 本当の歴史を学ぶ

 安倍政権のもと、日韓関係の悪化が憂慮されるなか、東学農民革命記念事業団や生命平和運動に参加する人たちと肩を組み合い、アリランを歌い合って市民レベルの交流が実現したことも、大きな特徴でした。

 そして、韓国における東学研究の第一人者で、北海道大学に留学していた円光大学教授の朴孟洙さんには、戦跡地での解説や市民団体との交流などを通じて、多くの援助をいただきました。この旅行は、研究者レベルを除いて、一般市民レベルで企画したはじめての旅行でした。そのため韓国のマスコミからも注目され、テレビ局からインタビューを受けたり、ハンギョレ新聞や全北新聞で大きく報道されました。

 中塚さんはこの旅行の一番の大きな目的に、「東学農民革命という抗日民族運動を現場で具体的に認識して、現在の韓国の人たちの歴史認識を学ぶこと」をあげていますが、私たちは、戦跡地を訪れながら、教科書にも書いていない本当の歴史を学ぶことができました。

(つづく)

(新聞「農民」2007.1.15付)
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2007年1月

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