GM(遺伝子組み換え)食品
植物から動物までも
成果を紹介、意見交流も
関連/遺伝子組み換え作物で日本農業はどう変わったか
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
10周年記念集会
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンは二〇〇六年十二月二日、十周年記念集会を都内で開きました。さまざまな立場で遺伝子組み換え(GM)食品や、それを取り巻く問題にかかわってきた人たちが集い、GM食品の問題点や過去、現在、未来について意見を交流。農民連も共催団体として参加しました。
第一部の「過去十年を振り返って」では、ビジョン21の安田節子さんが、バイオ企業の利益を最優先にしてきたGM開発を批判。農民連食品分析センターの石黒昌孝所長も報告しました。(写真〈写真はありません〉)
キャンペーン事務局の小野南海子さんは、GM食品反対運動の十年を振り返り、GM作物の野外研究・開発をストップさせた成果などを紹介。脱WTO草の根キャンペーンの大野和興さんは、グローバリズムのもとで、農業と食が機械化されてきた経緯を語り、自然を取り戻す必要性を強調しました。
第二部「GM動物食品がやってくる」では、キャンペーンの天笠啓祐代表が、さまざまなバイオテクノロジー技術を組み合わせて作り出すGM動物の特徴を解明。植物と異なり、動物は移動範囲が広く、環境への悪影響が懸念されるなどの問題点をのべました。
十一月二十七日から四日間開かれたコーデックス委員会バイテク部会の模様を報告した日本消費者連盟の真下茂樹さんはGM動物食品の安全審査基準作りが始められ、早ければ二〇一〇年にも食品として市場に出回る危険性を告発しました。
第三部は「これからの十年」のテーマで討論。GMOを拒否するフリーゾーンや大豆畑トラストなどを進める必要性を確認しました。
農民連食品分析センター 石黒昌孝所長の報告
WTO協定(一九九五年)のSPS協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)で食の安全が緩和され、小麦の有機リン系農薬など残留農薬基準も改悪されました。GM大豆の輸入開始(九六年)から、大豆、ナタネなどの除草剤残留基準も緩和されました。
私が見たアメリカの農場は三百ヘクタールもあり、GMコーンとGM大豆を交互に栽培し、畑は雑草も虫もいない不気味な光景でした。日本では、GM研究はされていますが、商業栽培は行われていません。しかし、GM企業の要求を受け入れ、世界でも最大のGM輸入国となっています。
この十年間で、生鮮野菜の輸入は四倍に激増、米も毎年七十七万トン輸入され、価格が暴落して生産費を下回っています。こうして農家数は五十一万戸も減り、農業所得も三割の減少です。その結果として、食料自給率は四六%から四〇%に低下しました。
自給率の低い大豆、コーン、ナタネ、綿実はGM作物が食卓に上る割合が高く、結果として日本人はモルモットとなっています。政府は、麦、大豆への価格保障をやめようとしており、そうなればGMをさらに増やすことになり大問題です。同時に日本の農作物への交雑やGM汚染が心配です。分析センターでは、GMナタネの自生を発見し、「非組み換え大豆使用」表示の豆腐から組み換え遺伝子を発見しました。あらゆるGM食品の全面的な表示と加工品の原産国表示が求められます。さらにGM食品の危険性や生態系への影響について徹底的な調査と追及が必要です。
モンサントなど多国籍企業や穀物メジャーによる利潤追求の横暴を容認しているWTO・FTA路線ではなく、食糧主権にもとづいた貿易ルールが必要です。世界の人口の二%にすぎない日本が、貿易に回る食料の九・七%を買いあさるやり方は許されません。国産を増やし自給率を上げることが国際連帯であり貢献です。輸入を規制し、価格を保障して農業を守ることが国民のいのちを守る道です。
(新聞「農民」2007.1.15付)
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