「農民」記事データベース20061023-753-06

日本・フィリピンEPAに異議あり

果樹生産の現場では−


国内で生産できるものは輸入を増やさないで…

沖縄県東村でパインを作る金城絹江さん

 パインが自由化される前は、加工して缶詰用に出していましたが、いまは加工用だけでは生活できません。数年前からは青果で出しています。今後、さらに熱帯果実が自由化されて輸入が増えれば、農業を続けるのが厳しくなります。

 スーパーに行くと、外国産のパインが安い値段で並んでいます。食の安全を考えると、大丈夫なのかと不安です。熱帯では、パインは一年中作ることができますが、沖縄では、冬は寒い日もあり、一年中というわけにはいきません。

 国内でできるものは、輸入をこれ以上、増やしてほしくない。日本では美しい田んぼで、おいしい米が作れるのに、なぜ外国から輸入しなければならないのでしょうか。

 自由化以降、パインを作る農家はずいぶん減りました。後継者がおらず、高齢化も進んでいます。農業を続けるのが厳しくなるもとで、私たちはパインの産直を始めて十年になります。産直に取り組む農家も増えています。安全・安心で、おいしい生のパインを味わってほしい。「外国産と違っておいしいですね」という声を励みにパイン作りにがんばっています。


マンゴーをパインの二の舞にはしたくない

東村でマンゴーなど果実を作る大村進さん

 マンゴーが沖縄で作られるようになってまだ間もないですが、メキシコ産、フィリピン産などがすでに店頭に並んでいます。値段が安い輸入物のマンゴーにはとても太刀打ちできません。

 マンゴーの収穫期は七月半ばから八月いっぱいの真夏。マンゴーの収穫は自然に大いに左右され、出来も隔年ごとに違います。マンゴー以外にも、モンキーバナナ、ドラゴンフルーツなどを作っていますが、熱帯果実の輸入が増えるのは、頭の痛い話です。マンゴーをパインの二の舞にはしたくない。後継者のためにも輸入は少ないほうがいいのです。

 たとえ作っても、それに引き合う値段で売れなければ、とてもやっていけません。今でさえ、農業をやっていく環境が厳しいところに、輸入がさらに増えると、ますますやりにくくなってしまいます。

(新聞「農民」2006.10.23付)
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2006年10月

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