日本・フィリピンEPAに異議あり果樹生産の現場では−
国内で生産できるものは輸入を増やさないで…沖縄県東村でパインを作る金城絹江さんパインが自由化される前は、加工して缶詰用に出していましたが、いまは加工用だけでは生活できません。数年前からは青果で出しています。今後、さらに熱帯果実が自由化されて輸入が増えれば、農業を続けるのが厳しくなります。スーパーに行くと、外国産のパインが安い値段で並んでいます。食の安全を考えると、大丈夫なのかと不安です。熱帯では、パインは一年中作ることができますが、沖縄では、冬は寒い日もあり、一年中というわけにはいきません。 国内でできるものは、輸入をこれ以上、増やしてほしくない。日本では美しい田んぼで、おいしい米が作れるのに、なぜ外国から輸入しなければならないのでしょうか。 自由化以降、パインを作る農家はずいぶん減りました。後継者がおらず、高齢化も進んでいます。農業を続けるのが厳しくなるもとで、私たちはパインの産直を始めて十年になります。産直に取り組む農家も増えています。安全・安心で、おいしい生のパインを味わってほしい。「外国産と違っておいしいですね」という声を励みにパイン作りにがんばっています。
マンゴーをパインの二の舞にはしたくない東村でマンゴーなど果実を作る大村進さんマンゴーが沖縄で作られるようになってまだ間もないですが、メキシコ産、フィリピン産などがすでに店頭に並んでいます。値段が安い輸入物のマンゴーにはとても太刀打ちできません。マンゴーの収穫期は七月半ばから八月いっぱいの真夏。マンゴーの収穫は自然に大いに左右され、出来も隔年ごとに違います。マンゴー以外にも、モンキーバナナ、ドラゴンフルーツなどを作っていますが、熱帯果実の輸入が増えるのは、頭の痛い話です。マンゴーをパインの二の舞にはしたくない。後継者のためにも輸入は少ないほうがいいのです。 たとえ作っても、それに引き合う値段で売れなければ、とてもやっていけません。今でさえ、農業をやっていく環境が厳しいところに、輸入がさらに増えると、ますますやりにくくなってしまいます。
(新聞「農民」2006.10.23付)
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[2006年10月]
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