「農民」記事データベース20061023-753-01

食健連発祥地・大阪で

草の根運動強め
秋のグリーンウエーブ
成功させよう

全国食健連が全国代表者・活動者会議

 国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)は十月七、八の両日、二〇〇六年度の全国代表者・活動者会議を、近畿では初めてとなる大阪市で開き、全国から約百人が集いました。参加者は各地の取り組みを学び、夜は、浪速の味をかみしめながら、大阪での交流を楽しみました。


食糧主権求める運動を地域から
共同を広げ生産者育て地産地消の運動さらに

 全農協労連の老田弘道委員長が主催者あいさつ。「世界の流れを見すえながら運動すると同時に、教育基本法改悪反対、消費税増税阻止など国民的課題の諸行動を、秋に取り組むグリーンウエーブ(食糧の波)に結びつけよう」と訴えました。

 大阪千代田短大講師の山崎万里さんが「食育について考える」のテーマで特別報告。教育機関だけでなく、地域・家庭・社会の連携を作り出すことの必要性をのべ、「上からの数値目標でなく、要求から出発することが必要。食育は人間教育の最も根本的な課題だ」と提起しました。

 農民連の真嶋良孝副会長は「WTOの危機と食糧主権」について報告。当事者が認めるWTO交渉の破たんの現状を示し、一方で、二国間のFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)での貿易自由化の流れが強まっていることを批判。食糧主権を求める流れが世界で広がっていると指摘し、「世界から食健連運動が注目されている」と激励しました。

 実践報告として「食料を守り、日本農業再建をすすめる大阪府民会議」(食農府民会議)の英彰事務局長が、全国食健連発足(一九九〇年)に先立つ八七年に結成された経緯とその後の歩み、活動内容を報告しました。

 食糧自給率向上の運動つよめよう

 「長野と並んで食健連運動発祥の地・大阪の活動に学ぼう」と大阪で開催した意義を強調した全国食健連の坂口正明事務局長が運動方針を提起。安倍新政権が農業切り捨て、食の安全無視の政策を強行するもとで、安全な食料の生産を拡大し、自給率向上の運動を強めようと訴えました。

 討論では各地の取り組みを交流。茨城の吉川路子さんが、農協の幹部、県職員らに幅広く呼びかけて、BSE問題の学習会を成功させた経験を発言。山形の梶昇司さんは、生協まつりで、安くておいしく安全な庄内牛肉の鉄板焼を提供しながら、食の安全・安心を訴えていると報告しました。

 行政や農協への粘り強い働きかけでは、京都の井坂洋子さんが、地場産小麦を使ったパンを学校給食に採用してもらおうと、地元産小麦のパンを食べてもらいながら、行政との交渉に臨んでいる様子を語りました。

 品目横断対策の問題で、岡山の坪井貞夫さんが、農協・自治体回りを精力的に行い、懇談の場で「農業振興のために何をしたらいいのかわからない。知恵を貸してほしい」と要望される例を紹介。富山の水越久男さんは、全中の元専務が「悪い農政を変えるため」と称して、自民党参院選候補になったが、政策の中身は何もないと指摘。品目横断対策が、農村の現場に混乱をもたらすなかで「突っ込んだ話し合いと学習が必要だ」と提起しました。

 静岡の杵塚歩さんは「地域でも、周りの青年に声をかけ、仲間の輪を広げたい」と決意を表明。長野の小林節夫さんは、団塊世代の結集に言及し、「定年退職したら百姓になれと呼びかけ、地域食健連を強化することが大事だ」とのべました。「女性なくして農業は成り立たない」と、奈良の中元悦子さんは、地元でこつこつと農業をやっている人たちとのつながりの必要性を語りました。

 品目横断対策の下でも地域を元気に

 労働組合も食の安全を守るたたかいを発言。明治乳業争議団の伊藤武治さんは、もうけ主義、労働者いじめとたたかい、大企業の社会的責任を果たさせることの意義を強調。全農林東京の新委員長、柳澤芳博さんは、品目横断対策やBSEなどの影響で、農林職場の労働条件が厳しくなっている実態を告発しました。

 中央団体から「日本の伝統食を考える会」の宮本智恵子さんが、伝統食列車第一号が九二年に走って以降、農業の振興に貢献してきた経緯を語り、新婦人本部の安達絹恵さんは、学校訪問を旺盛に行い、給食問題などでの懇談に力を入れている様子を語りました。

 農民連の笹渡義夫事務局長は、品目横断対策のもとで、地域に根ざした運動の重要性を強調し、「地域全体が元気になるような、食糧主権のための草の根からの実践を」と呼びかけました。

 食健連と共同行動を進めている全大阪消費者団体連絡会の飯田秀男さんが、農民連の食糧主権宣言案について「いい時期に出された。さらに議論して、深めたい」と期待の言葉を寄せました。

 農業つぶしに抗し全力で農業守ろう

 懇親会では、食い倒れの街・大阪の味を堪能。新婦人京都府連とBSE市民ネットワークによる劇団モーモーの寸劇が披露され、アメリカ産牛肉の危険性を訴えました。

 坂口事務局長は討論を踏まえ、「農業ができる地域に変えるために、生産者を育て、地産地消など運動を展開していくことが大事。食糧主権を実践するのは地域。現実を動かすために、秋のグリーンウエーブを成功させよう」と強調。閉会あいさつした農民連の佐々木健三会長は、健康な日本食への評価が世界でも高まっていることを紹介し、「日本食を支える農業をつぶそうとする動きに対抗し、食と健康、農業を守る運動に全力をあげよう」と訴えました。

(新聞「農民」2006.10.23付)
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2006年10月

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