アメリカ産牛肉輸入問題で学習会茨城と岩手 県職員、農協、農民ら多数参加
茨城で山内一也東大名誉教授全頭検査が最適アメリカの検査体制は不十分国民の食料と健康を守る茨城県連絡会(茨城食健連)は九月二十六日、土浦市民会館で、学習講演会「アメリカ産牛肉輸入再開とBSE問題」を開き、県畜産課・生活衛生課の職員をはじめ、研究者、コープや農協の職員、学生、主婦、農民ら約七十人が参加しました。東京大学の山内一也名誉教授(日本生物科学研究所主任研究員)=写真〈写真はありません〉=が、プリオン病やBSEの発生状況とそのメカニズム、十分なリスクコミュニケーションの方法をわかりやすく解説しました。 結論として、WHO(世界保健機関)がBSE対策として掲げる「食卓に感染牛を回さない」という原則からみても、全頭検査が最適であり、食肉への特定危険部位(脳、せき髄など)の混入を確実に防止でき、月齢確認の必要がないなど科学的合理性があると指摘。また、牛肉輸出国であるアメリカの検査体制は、飼育頭数や食肉処理頭数からみても不十分であることやアメリカ国民はBSEのリスクをほとんど知らされていない実態などを紹介しました。 討論では、参加者から質問が活発に出されたほか、「最新のBSEにかかわる知見が得られて参考になった」「消費者的視点での議論が政府等で行われなかったのは疑問」などの感想・アンケートが寄せられました。「食健連でこうした学習・講演会を企画し、交流をもってほしい」などの要望も出されました。 (茨城農民連 吉川路子)
岩手で金子清俊東京医大教授食品安全委「答申」をねじ曲げた政府に怒りいわてコメネットと岩手県消団連が主催する学習講演会―「ほんとうに大丈夫? アメリカ産牛肉輸入再開」が九月二十七日、東京医大教授で元食品安全委員会プリオン専門調査会座長代理の金子清俊さんを講師に迎えて、岩手県盛岡市で行われました(写真〈写真はありません〉)。消費者、生産者はもちろん県農協中央会や県農政事務所の職員なども含め、約百人が参加しました。金子さんはプリオン病研究の到達点から、BSEなどヤコブ病(CJD)の問題点をわかりやすく解説しました。「変異型CJDでは、輸血による感染の例も報告されている。輸血や臓器移植・内視鏡などで感染する可能性も考えられる。『食べたい人は食べればいい』というものではないのではないか」「ヤコブ病は潜伏期間が数十年にわたっており、発症のリスクには未知な点が多い。これを教訓にしなければならない」という話には、会場からどよめきがあがりました。 食品安全委員会の「答申」が、政府によって政治的に利用され、ねじ曲げられてしまった点については、特に食品安全委員会に所属していた当事者として怒りを込めて語られました。 金子さんは最後に、「アメリカのBSEの発生状況には不明な点が多い。予防原則からすれば安易に(アメリカ産牛肉を)『輸入していい』とはならない」と指摘。当面の課題として「査察・検疫・緊急時対応」の徹底が求められる、と結びました。 (岩手県農民連 岡田現三)
(新聞「農民」2006.10.16付)
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[2006年10月]
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