「農民」記事データベース20060828-745-06

児童らに“食”の指導を強めたい

「食といのち」で先生たちが研修 福島

関連/山形 全農研が第36回研究大会


 福島県福島市内の小学校で働く先生たちが七月二十四日、福島県農民連の根本敬事務局長を招いて、「食といのち〜子どもたちに何を伝えるか」をテーマに研修会を開きました。

 福島県農民連根本事務局長を講師に

 この先生たちは、小学校で「生活科」と「総合的な学習」の時間の研究をしています。毎年夏休みに実施している研修会に、今回は約四十人が参加しました。(写真〈写真はありません〉

 農民連の根本さんは冒頭、「世界のどこかで三秒に一人の割合で子どもたちが命を落としている」と話し、その主な原因が食料不足であること、一方で日本では食料廃棄が年間二千万トンにもおよぶことを対比して、「私たちはこの事実から何を学んでいけばいいのか」と問題を突きつけました。そして、豊富な資料をもとに、食料自給率やBSE、食品添加物などの話題を取り上げ、またコンビニのおにぎりを水の中に入れる実験を交えながら、「食べることは、『いのち』に直結している。子どもたちが食べることを大切に考えるように育てることはおとなの役目」という強いメッセージを投げかけました。

 参加者は、おにぎりの実験に「え〜! こんなに油が浮かぶの!」と驚きながら、「これから食に関する指導に力を入れたい」「食べることは、心をはぐくむためにも大切」などの感想が出され、何を子どもたちに伝えていくべきかを痛感し、有意義な研修となりました。この研修会を準備した先生は、「これからも農民連と協力しながら、食といのちの問題に取り組みたい」と話しています。


地域に根ざした農業教育を展望

山形 全農研が第36回研究大会

 農業教育に携わる教師やそのOBでつくる全国農業教育研究会(全農研)は八月五〜七日、「共生の時代―日本農業と農業教育の明日を展望する」をメーンテーマに、山形県川西町・高畠町で第三十六回研究大会を開き、全国から七十人余りが参加しました(写真〈写真はありません〉)。今回は、作家・井上ひさしさんが校長を務め、農業問題の学習を続けている遅筆堂文庫生活者大学校と共催しました。

 三十数年前から有機農業を実践してきた高畠町の星寛治さんが、「農業教育の明日を展望する」と題して記念講演。星さんは、「政府が進める品目横断対策を受け入れるなら、日本の農業は衰退し崩壊する。数十年、農をライフワークにして生産現場にいる者として直感する」と述べ、小泉「農政改革」を批判しました。

 その後、高畠有機農業提携センター所長の渡部務さん、置賜農業高校飯豊分校の長谷部浅和さん、二井宿小学校校長の伊澤良治さん、川西町町長の原田俊二さんを講師にシンポジウム。長谷部さんは、「定員割れで廃校の危機に立たされているが、生徒たちは全国農業クラブ大会で日本一に輝いた。生徒のがんばりに励まされて、分校存続のためにがんばりたい」と発言。また伊澤さんは、「学校給食の食材は、子どもたちの作った野菜で給食自給率五〇%をめざす」と、その取り組みを熱く報告しました。

 二日目は、地元の案内で、置賜農業高校や遅筆堂文庫、上和田有機米生産組合の田んぼ、有機農業の拠点となっている和田民俗資料館を視察。その後、四つの分科会にわかれて農業教育の実践を交流。教員や栄養士など教育関係者の奮闘と児童・生徒のがんばりが特徴的でした。

 大会では、地域に根ざした小・中・高一貫の農業教育の実践活動を強め、農業高校の卒業生の動向調査・進路指導なども行うことを確認しました。

(新聞「農民」2006.8.28付)
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2006年8月

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