米屋さんと生産者をつなぐ交流会 大阪
お互いの顔が見え期待感ひしひし
関連/取扱・米屋さん訪れ、懇談
作る農家の顔が見えるお米を、卸や米屋さんを通じて消費者に届ける準産直米に取り組む農民連ふるさとネットワークは八月六日、大阪市の大阪合同庁舎で、米屋さんと生産者をつなぐ交流会を開きました。猛暑のなか、生産者、お米屋さんら百四十人が集い、交流しました。
今年の作柄は?栽培の特色は?取扱量は?
こだわりの米を懸命にPR
作況など聞き取る真剣な目
買ってみたい米作っているから
農民連の佐々木健三会長が主催者あいさつ。品目横断対策の問題点をのべ、「対策の実施で、担い手から外された農家はどうなるのか」と懸念を表明。年七十数万トンものミニマムアクセス米が流入している現状を指摘したうえで、WTO交渉の決裂に触れ、「私たちが協力・共同して運動を一歩一歩前進させることが、大きな対抗軸になる」と激励しました。
東京からかけつけた日本米穀小売商業組合連合会(日米連)の長谷部喜通理事長は、来阪の理由を「われわれが買ってみたい米を作っている農民連への信頼感からだ」と表明。「これからは生産者との交流が必要になってくる。小売りが知恵をしぼり、農民連の生産者の力を借りて、米の流通についても議論するときだ」と指摘し、「生産者の顔が直接見える取引が大切。小売りが生きていく道は無限にある。暑さに負けず、商売に負けず、切磋琢磨(せっさたくま)していい結果を出したい」とあいさつしました。
農水省職員の労働組合、全農林大阪府協議会の湯川喜朗委員長は、各地方の農民連と全農林とが連帯する重要性をのべ、「生産者、自治体、農協、農政事務所などが、集落営農の正しいあり方について研究し、意見を反映させる取り組みを」と呼びかけました。
また参加した卸から「みなさんの米の品質は、十七年産は相対的によかった」との報告がありました。
昨年より上乗せできるかどうか
各産地からは、今年の作柄、栽培の特色、銘柄・取扱量などについて、代表者が報告しました。
「日照不足の影響もあり、これからの天候でどれだけ回復できるか。刈り取りは平年並みになりそう。昨年よりどれだけ上乗せできるか」(ほくほくネットの井上耕太郎さん)、「きのう、きょうが稲刈りのピーク。倒伏がないので平年並み」(九州ネットの村尻勝信さん)などの作柄を報告。また「生産者同士で作柄や作り方を交流している。順調にいってくれれば平年並み」(北陸ネットの竹内喜代嗣さん)、「生産者と消費者とがそれぞれの思いを交流できる場を設けている」(近畿ネットの大西一幸さん)などの紹介がありました。
自由交流の場で名刺交換次つぎ
産地と米屋さんの自由交流では、各所で名刺交換が行われ、生育状況などを聞き取る姿があちこちでみられました。日本酒、果物など産地からの持ち寄り品も展示されました。大阪府私学教育文化会館に場所を移しての懇親会では、産地の地酒や加工品を味わいました。
丸天米穀酒販の山中茂晃社長は「米屋と生産者がじかに話し合い、直接知り合う機会はいいですわ。農家も積極的にアピールしてくれました。『わしらが作った米だ』と産地のこだわった米が手に入るのがいい」と交流に満足していました。
取扱・米屋さん訪れ、懇談
お米屋さんと生産者が懇親を深めた交流会。長野県栄村からは、七人の生産者がワゴン車で六時間かけて駆けつけました。米の振興を重要な柱と位置づける村が、車を提供し、燃料費と高速代を助成しての参加です。
栄村の米を扱っている「夢米会」の川端清治代表は、何度も村に足を運び、産地の状況を把握しています。懇親会では、栄村の生産者たちと地酒を囲み、交流を深めました。
川端代表は「産地に行くと、これだけ生産者が一生懸命作っているものなんやとつくづく思う。米の流通も、生産者とお互いに話し合っていい方向に向かえれば。交流会は、お互いにとって利益になる」と手応えを話していました。
栄村の生産者七人は翌日、夢米会代表の店「蔵よし」(東大阪市)を訪問。生産者の廣瀬進さんは「生産者と米屋とが直接会って、意見を述べ合うことは、日本農業の振興、消費者のためにも大事なこと。蔵よしさんを訪問したら、お店がきれいで、店頭に精米機も備え付けてある。私たちの作った米がこうやって消費者に届けられているのかと感心しました。双方の悩み、考え方を率直に言い合う関係になり、つながりがますます深まりました」と感想を語っていました。
(新聞「農民」2006.8.28付)
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