京都・亀岡市の犬飼老人クラブ
戦争を知っている私たち
悲惨な体験を若い世代に伝えよう
冊子「戦後60年−私の8月15日」
関連/“9条を守ろう”の文字くっきりと
平和への願い熱っぽく語る
もうすぐ終戦記念日を迎えます。京都・亀岡市曽我部町にある犬飼老人クラブは昨年、終戦六十年の節目の年に、会員の戦争体験をつづった冊子「戦後六十年―私の八月十五日」を作り、地域の全世帯に配布しました。
老人クラブ会長は農民連の会員
この冊子作りを呼びかけたのは、老人クラブの会長で農民連の会員でもある井口勤さん(75)です。井口さんは、沖縄で戦争を体験した人たちが語り部となって伝えていることを知り、「自分たちの苦しい体験が、戦争を知らない世代に伝われば」と、七十人余りの会員に協力を呼びかけ、十九人から戦争体験の手記が寄せられました。
「はしがき」には、「戦争を知る者の責務として戦争の日を言葉にしました」と書かれ、学徒動員やB29による空襲、終戦の日の記憶、ビルマ・インパール作戦に従軍した体験など、どの手記からも「二度と戦争の日があってはならない」「あやまちは二度と繰り返しません」「もう戦争はこりごり、忘れようと思っても忘れられない」など、平和への願いが熱く伝わってきます。
インパール作戦に参戦して、九死に一生を得て帰国した福知隆一さん(90)は、いままで家族にも話したことのなかった「まさに生き地獄絵巻そのものだった」体験を、六十年目にしてはじめて語ってくれました。また、当時女学生だった松本初美さんは、サツマイモづくりの学徒動員のようすを語り、「終戦より六十年を過ぎし今日、物は豊かに心は冷たく」という歌を詠みました。「当時のことを話しても、いまの若い人にはとても信じられない。ウソやろうと言います。なかなかわかってもらえないのが残念です」と話します。
高校の教師から“教材に”の依頼
自らも、十三歳の夏の出来事として「最後の少年志願兵」を書いた井口さんは、冊子作りを通じて「戦争を知る者として、体験を語り継ぐ大切さを実感した」と話します。また、この冊子が地元の京都新聞でも取り上げられ、高校の先生から「教材に使いたいから送ってほしい」という依頼が寄せられたり、亀岡市も戦争の記録を残す企画を立ち上げるなど、反響を広げています。
“9条を守ろう”の文字くっきりと
宮城食健連が、五月二十日に大崎市鳴子温泉の田んぼに紫稲の苗を植えて三カ月余りがたちました。
日照不足、低温が続きましたが、いま「九条田んぼ」には、ハッキリと「九条を守ろう」という文字が浮かび上がりました(写真〈写真はありません〉)。田植えの早苗がこんなに大きく育ち、まもなく出穂期を迎えます。秋に向けて憲法九条を守る運動を大きく飛躍させるべく、決意を新たにしています。
(宮城食健連 鈴木弥弘)
(新聞「農民」2006.8.14付)
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