2割の要員削減で原資捻出メリット還元は「担い手」限定「全農問題」と改善計画の問題点
全農は昨年十二月八日、農水省から十月に出されていた「全農あきた米架空取り引き事件」に関する業務改善命令で指示されていた改善計画を提出しました。その内容は、これからの農協経済事業に重大な影響を及ぼす大きな問題点を含んでいます。米問題を契機に、「全農つぶし」ともいえる内容になっているからです。 改善計画で全農は、〇七年度からの五年間で二百四十億円のメリット還元を「担い手」に限定して行うと約束しています。しかしその財源は、経済事業取引の中からではなく、関連会社を含めた全農グループ全体で、二割にあたる五千人の人員削減を実施し、残った職員にも総人件費の抑制を行うことによってまかなうこととなっています。 いま農協で進められている経済事業改革や、十月に開催される農協大会の組織協議案では、「生産資材の目に見える引き下げ」が強調されています。これまでは、組合員の結集を強めて取扱高を拡大し、仕入先である独占企業と有利な価格交渉を行う中で、農家組合員に有利な資材供給を行うのが、農協経済事業の重要な機能でした。 しかし、昨年末に出された改善計画は、その後三月に開かれた全農総代会で決定された「新生プラン」と同様に、全農の事業活動によるメリット還元を政府・財界の方針に合わせて「担い手限定」のものとし、しかもメリット捻出は人減らし合理化で実現するというもの。これでは五年後になれば、更なる「担い手」の限定と人員削減が避けられないことになります。農協経済事業を全組合員のものに取り戻さなければなりません。 (Y・H)
農協を訪問“「農民」購読を”農民連、各地で対話し訴え各地の農民連が、新聞「農民」の農協特集号を持って農協を訪問し、「共同して農協攻撃に反撃し地域農業を守ろう。『農民』の購読をぜひ」と呼びかけています。農協攻撃のもとで、「農協は地域に不可欠。がんばれと言ってくれるのは農民連だけ」と、どこでも歓迎されています。山形県連庄内農民センターは、農協特集号を二千部買い取り、管内にある五つの農協を訪問して懇談。組合長や役員だけでなく、すべての職員を対象に訪問・対話をやろうというスケールの大きな取り組みです。 島根県連は、県内に十一ある農協のうち、すでに四つの農協を訪ねて懇談。組合長などからは、「品目横断対策は、対象になる農家は支援できるが、もれる人をどうするか頭が痛い」という声も。隠岐島の二つの農協を含め、全農協を訪問しようと計画しています。 岡山県連は、県内十一農協のうち五農協を訪問。新聞「農民」を一部増やし、食糧主権のブックレットをほとんどの農協で購入してもらいました。品目横断対策ではどこでも不満が出され、農協解体攻撃を仕掛ける「宮内(規制改革・民間開放推進会議議長)というのはとんでもない男だ」という声もあがりました。 岩手県連の堂前貢副会長は、西和賀農協を訪問して組合長と懇談。農協合併や減損会計問題などで話し合い新聞「農民」を購読してもらうことに。また「農協として準産直米に参加してほしい」と提起したところ、前向きに協議することになりました。
(新聞「農民」2006.8.14付)
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[2006年8月]
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