農民連ふるさとネットワーク第三回総会開く
「品目横断対策」のもと
運動広げ事業切り開こう
WTO交渉決裂、アメリカ産牛肉輸入再開、農業構造改革の推進など、食と農を取り巻く内外の情勢が大きく動く中で、農民連ふるさとネットワークは七月二十六、二十七の両日、第三回総会を東京・台東区民会館で開きました。
運動に見合う組織力強化を
冒頭あいさつした堂前貢代表は、品目横断対策について「究極の中小農家つぶし」であり、「農民にたいする重大な挑戦状」だと指摘。米の準産直、新婦人産直、カタログ販売などの活動をさらに発展させ「食料自給率の向上に貢献する意気込みで取り組もう」と呼びかけました。
農民連の佐々木健三会長は、日本や世界各地で起きている異常気象にふれ「農業・農村、森林資源の大事さを痛感している」とのべ、来年一月の全国大会までに「運動に見合う組織力を強化しよう」と訴えました。
販路拡大の活動飛躍させよう
中津孝司事務局長が、現勢で全都道府県に加入組織が広がったことを紹介し、運動で切り開いてきた事業と取り組み方針を報告。大手中心・市場原理優先の米流通が強まり、米価暴落のもとで、中小の米業者と取り組む準産直米は、二十六道府県で実施され、過去最高の数量に達したことを紹介。「学校や病院など給食の取り組みを進め、確かなルートを切り開こう」と呼びかけました。
新婦人産直も本部レベルで懇談会や交流会を持ち、全都道府県でなんらかの形で取り組まれていることが紹介され、「新婦人と連携しながら発展させよう」と訴えました。
討論では、農民連の笹渡義夫事務局長が「品目横断対策のもとで、どうやってものを作り、販路を拡大していくのかが問われている」と問題提起。横山昭三事務局次長は「品目横断対策に乗っても、乗らなくても販路が重要だ」と指摘し、卸も小売りも生き残り・経営戦略のなかに、農民連を位置づけていることにふれ、「期待に応え、準産直米の取り組みを大きく発展させよう」と発言しました。
各地の多彩な経験で活発な発言
学校給食、新婦人産直について、各地の進んだ取り組みが報告されました。山形・庄内産直センターの佐藤光雄さんは、東京の学校給食の取り組みを紹介。「アメリカの食糧戦略で奪われた日本人の胃袋を取り戻し、日本の食と農を守ることが、地域農業を守る道だ」とのべました。
千葉・多古町旬の味産直センターの小林由紀夫さんは、交流しながら産直を進めている経験を報告。新婦人会員のアイデアから新商品が生まれている事例をのべ、「交流と事業はつながっている。産直を多様な形で進めたい」と語りました。
産直ネットワークいばらきの小林恭子さんは、大豆畑トラスト運動が、玉ネギ、ジャガイモなどを学校給食に提供する取り組みに広がっていった経緯を紹介。「小さな運動でも販路を切り開ける」と発言しました。
しずおか産直ネットワークの吉川利明さんは、足りないものを産地間で補ううえで、ふるさとネットが果たしている役割を強調。生協が事業連合を進める中で、生産者の力を借りながら、全国ネットに結集する意義をのべました。
総会には来賓として、新日本婦人の会の高田公子会長、全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)の坂口正明事務局長、日本共産党の紙智子参院議員の三氏が参加し、あいさつ。
最後に根本敬副代表が「運動で事業を切り開き、事業で運動を切り開くことが大事。そのためにも食糧主権宣言案を多くの人に届け、新聞『農民』を広げよう」と呼びかけて閉会しました。
役員は堂前貢代表をはじめ、全員が再選されました。
(新聞「農民」2006.8.14付)
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