「農民」記事データベース20060807-743-02

アメリカ産牛肉の輸入再再開
決定に抗議し撤回を求める

二〇〇六年七月二十八日
農民運動全国連合会会長 佐々木健三


 、政府は二十七日、国民の多数の反対を無視して米国産牛肉の輸入再開を決定した。これはアメリカの圧力に屈して食の安全に対する政府の責任を放棄するもので、決して容認できない。満身の怒りを込めて抗議するとともに、決定の撤回を要求する。

 、政府が行った事前査察でも脊髄の残存など、三十五施設中十五施設で問題が指摘され、ズサンな実態が明らかになっている。また、日本よりはるかに甘いアメリカの安全基準に違反する事例が一年四カ月の間に干件を超え、未承認施設から繰り返し日本に牛肉が輸出されていたことも確認されている。

 、そもそもアメリカのBSE対策は、全頭検査を拒否し、検査率は〇・一%に過ぎない。危険部位の除去、肉骨粉の製造・使用の禁止、トレーサビリティなど、日本で当然必要とされている措置がとられていない。

 安全対策にとって不可欠な改善を米国に要求せず、また、国民に説明することなく輪入を強行したことに対し、米国産牛肉への不安と、食品安全行政への不信が高まることは必至である。政府の決定を発表した川崎二郎厚生労働大臣白身が、記者から「米国産牛肉を食べるか」と問われ、「立場上、食べます」といわざるをえなかった。流通業者からは「安全性が確認されるまでは販売を見合わせる」という声が相次いでいる。

 、今回の決定は、米国に従属する白民党政治のもとで、国民の食の安全を守る権利がいかに躁燗されているかを如実に示している。米政府は、すかさずBSE検査を十分の一に削減すると発表し、二十カ月齢以下としている輸人条件を三十カ月に緩和することを要求している。米国言いなりでは食の安全は守れない。人間の命と健康にかかわる食の安全よりも貿易や経済的利益を優先することは、世界に広がる食糧主権への逆行であり、許されない。

 、農民連は、政府に対して日本と同等のBSE対策を米国にとらせることを改めて要求する。同時に、引き続き米国産牛肉の実態を暴露するとともに、全面的な原産国表示の実施などを要求する。また、国民の期待に応えて安全な農畜産物の生産に全力をあげるものである。

(新聞「農民」2006.8.7付)
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2006年8月

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