農民連が米価緊急対策を政府に申し入れ計画に見合う備蓄米の買い入れを九州や四国では04年産超早場米の出荷が始まりました。しかし、農家の表情はさえません。米価の下落が予想されるからです。農民連は7月21日、米価下落への緊急対策を農水省に申し入れました。
米価下落の“張本人”は「米改革」政府が不作に乗じ超古米を大量処分規制撤廃で大手業者が価格操作米価下落の原因は、今年スタートした「米改革」です。「米改革」は、米の需給や価格の安定に対する政府の責任を完全に放棄し、米流通 の規制を撤廃するもの。農民連は、「米改革」を中止して政府が国民の主食・米に対して責任を持つこと、政府米(とくに超古米)の売却をストップするとともに、大手業者の横暴勝手を規制することを強く要求します。
不足分上回る百五万トン放出〇三年産の自主流通米の価格は、昨秋から年末にかけて、一部の大手業者の買い占めなどによって一時暴騰し、今年になってからは連続して値下がり。入札は六月が最後で、十月まで価格は固定されますが、実際の取引価格は日々下がり続け、入札価格を三千円も下回るなど歯止めがかからない状況です。この主な原因は、不作による米の不足(約八十万トン)を上回る百五万トンもの政府米が放出されたから。政府米の売却は、米価の高騰が沈静化した今年四月以降も一万トンを超えるペースで続いています。 しかも、放出された政府米の主力は、九七年産の超古米で(表)、スーパーやディスカウント店の低価格米はこれをブレンドしたもの。また低価格米を使う外食産業では、古米臭を消して、味をつける炊飯添加剤が広範囲に使われているといわれます。食味の悪い超古米が、消費者の米離れに拍車をかけているのです。
「米ビジネスを発展させる」という「米改革」を先取りした大手業者の価格操作を放置して、自ら不作に乗じて超古米を大量 売却した政府の「悪徳商法」。こんなことを許していたら、まともな米の生産も流通 も成り立ちません。
03年度米買い入れわずか8千トン価格の下落が予想される〇四年産米。理由は、計画どおり消化が進まずあふれる米卸や米屋さんの在庫と、「売れる米づくり」と称して産地の価格競争をあおり、米価下落の歯止めをとっぱらった「米改革」です。いま米卸の在庫は、通常の二倍にふくらんでいるといわれ、中小の卸、街の米屋さんは、仕入価格と販売価格との差損に苦しんでいます。「米価がこれから先どうなるかまったく見えない。恐くて今はとても米を買えない」と都内のある業者。産地でも「『今度はあの業者が危ない』といったささやきがさざ波のよう広がっている」状況です。 一方、政府の備蓄米(政府米)は、自ら決めた備蓄計画の百万トンを大きく下回る六十万トン。計画を大幅に上回る政府米を売却しながら、〇三年産米をわずか八千トンしか買い入れていないからです。 農民連は、不測の事態に備えるためにも、また米価下落に対する緊急対策としても有効な、備蓄計画に見合った米の買い入れを今すぐ実施することを要求します。
プラスチック原料に輸入米今年は、国連が決めた「国際コメ年」です。米価の下落を放置しては、日本の稲作は守れません。同時に、国連が指摘するように、米は世界の飢餓を解決するうえで重要な作物です。それなのに政府は、国民が食べもしないミニマム・アクセス米(MA米)をWTO協定にもとづく義務だとして輸入し、百二十七万トンも倉庫に積み上げています。 そして、あげくの果てにプラスチック原料に。そもそも世界には、本来米を自給できる日本が、大量の米を輸入する余裕はありません。積み上がったMA米を海外援助に回すとともに、いま大詰めを迎えているWTO交渉でMA米の削減・廃止をきっぱり要求すべきです。
(新聞「農民」2004.7.26付)
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[2004年7月]
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