WTO交渉激しい“談合”で急展開米のミニマム・アクセス100万トン?
WTO農業交渉が急展開しています。WTO農業委のグローサー議長が七月十日前後に議長原案を示し、十四〜十六日の農業委員会特別会合、二十七〜二十九日の一般理事会で大筋決着がもくろまれています。
問題は交渉の進め方と内容問題なのは、交渉の進め方と内容です。いま進んでいる交渉は「昨秋のカンクン閣僚会議の大失敗」(ラミーEU委員)から教訓を学んだアメリカとEUが、オーストラリアとインド・ブラジルを巻き込んで「NG5」(非公式グループ)を作り、従来以上に激しい“談合”を行っているのが特徴。日本は完全に蚊帳の外です。 しかも、交渉の内容は輸出国にはあくまで有利に、輸入国には完全な自由化を押しつけるという構図が強まっています。 六月下旬のNG5にアメリカが示した市場開放提案(階層方式)は(1)農産物を関税率ごとに四グループに分け、(2)それぞれの税率に上限を設けて関税を大幅に引き下げる、(3)急激な関税引き下げが困難な「限られた数の品目」については「例外」扱いにするが、一定幅の関税引き下げとミニマム・アクセスの拡大を求める――というもの。 この「階層方式」が議長原案の基調になると報じられていますが、そうなったらどうなるか――。「日本経済新聞」は、米のミニマム・アクセスは七十七万トンから百万トン以上に拡大され、バターなどの関税率は半分以下になると予想しています(表)。
その一方でアメリカは最も「貿易歪曲的」で、世界中の農業を困難におとしいれているダンピング輸出補助金を温存することをねらっています。
許しがたいのは小泉首相の姿勢しかも許しがたいことに小泉首相は、こういう内容をベースにした「WTO交渉の枠組みを七月までに完成させる」というサミットの「貿易声明」に賛成したのです。こんな合意が実現したら、日本農業がいっそう困難に追い込まれることは必至です。交渉の蚊帳の外に置かれていることを恥とも思わず、重大なサミット声明には盲目的にサインする――こんな無能・無活力の政府・与党に対するきびしい批判が必要です。
(新聞「農民」2004.7.12付)
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[2004年7月]
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