「きくまの民話と伝説」愛媛県菊間町
けっこうさん(港町)おへんどさんが菊間に流れて来て住みつきました。いっつも裸で腰に布をまきつけとりました。時々船方にやとわれて食物や酒をよばれては、「けっこうでございます、けっこうでございます。」と手を合わせておじぎをしよりました。 仕事のない折には物持ちの家を回って、 「けっこうでございます。」と、手を合わせては口すぎをしよりましたが、ある正月の朝のこと、いつものように門に立って「けっこうでございます。」とゆうたところ、「えんぎでもない。」と、そこらにあった棒切れでたゝかれてころりと死んでしまいました。 とるにたらんほいとへんどのこと、えゝかげんな事で済ましとりましたら、その物持ちの一族に悪い事がなんぼでも続きますので、おがんでもろたら、 「けっこうさんが憑(と)りついとる。」いいましたので大きな榎の木の下にほこらをたてゝまつり、盆には盆おどりをしてなぐさめてあげとります。 (「きくまの民話と伝説」より)
(四国ブロック編集協力員 大道法幸=愛媛・菊間農民組合、写真は大道さんの撮影)
(新聞「農民」2004.1.26付)
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[2004年1月]
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