「農民」記事データベース20040126-620-01

見事!! 最優秀賞に輝く

新聞「農民」使って高校生が研究発表

盛岡市大会で

 夏休みの家庭科の宿題“ホームプロジェクト”で新聞「農民」を活用して食料問題を取り上げ、市の大会で最優秀賞に輝いた高校生がいます。岩手県盛岡南高校一年生の遠藤正太君(16)。題して「これでいいのか? 僕たちの食生活〜地域の食に目を向ける」。ホームプロジェクトをやりとげ、「やっぱり外国産の食べ物は不安。日本のものを食べつづけたい」と言う正太君に聞きました。


出した結論もいい

やっぱり安心 郷土食たべよう

地域の食に目を向けて 記事も紹介

 食にこだわるお母さんも援助

 ホームプロジェクトの課題は「家庭の中で改善しなければならない問題を、どうやって解決するか」。同級生たちが「老人介護」や「家族だんらん」などをテーマに選ぶなかで、「最初は何をテーマにしたらいいのかわからなかった」という正太君。「そういえばウチのお母さんは、食べ物にはこだわっている。外国産を信用せず、国産の安全なものをさがしている。どうしてだろう?」−−さっそくお母さんの寿美子さんに相談しました。

 新聞「農民」の熱心な読者で産直ボックス愛用の寿美子さんは、「ずっと地元のもの、安全なものにこだわって食事作りをしてきて、その大切さをわが子にきちんと伝えたいと思っていたので、この宿題は“渡りに船”でした」と言います。

 無農薬農家で農作業を体験

 食生活と食料問題にテーマを決めた正太君と寿美子さんは、さっそくわが家の定番家庭料理とファーストフードの比較から始めました。ハンバーガーやフライドポテト、チキンなどと、岩手の郷土料理「ひっつみ」の材料の種類や栄養、産地などを比較。すると「ファーストフードは食材の数が少なく、栄養が偏り、しかも輸入が多くて残留農薬もある」ことがわかってきました。

 正太君は、農民連会員で無農薬・減農薬栽培に取り組む熊谷正則さん宅で半日、農作業を体験しながらインタビューし、農薬や農業についても調べてみました。農薬の袋にある「散布時はマスク・手袋を着用し、薬を肌に直接つけないこと」という厳重注意を見て、正太君は「こんな危険なものを食べる物にかけているんだ、と不安に思った」と言います。「でも農家の人が“農家だって使いたいから農薬を使っているんじゃない。見た目がきれいな物が売れるから。農業は工業と違って一つ一つ違うものができることを、消費者にも知ってほしい”と言っていたのが心に残った」。

 正太君は“ハンバーガーの輸入小麦には残留農薬がいっぱい”という新聞「農民」の紙面も紹介し、「昔から食べ続けられている郷土食は、やっぱり安心」と発表。学校代表に選ばれ、盛岡市の大会でも発表することになりました。

 県産小麦でもおいしいパン

 さらに、市の大会にむけて家庭科の先生の指導も得て、「国産小麦はパンに向かないと冷遇されているようだけど、本当だろうか? 岩手は昔からの小麦の産地だし、調べてみよう」と、正太君は生協で入手した県産小麦(中力粉)と、市販の輸入の小麦(強力粉)を使った実験にも挑戦してみました。

 方法はいたって簡単。それぞれ同量の粉を水で練った後、もみながらゆっくりと水で流すとグルテンが残ります。このグルテンの量と質を調べたのです。「量は輸入小麦の方が少し多かったけどほぼ同量だったし、質は県産小麦の方が伸びが良かった」と正太君。この結果には指導した先生もびっくりだったそうです。

 「インターネットで統計資料も調べてみたけど、小麦は米に次ぐ食糧なのに自給率がどんどん下がっている。県内には県産小麦を使うパン業者も残っているし、県産小麦でもおいしいパンはできると思った」と確信はますます深まっていきました。

 農業に着眼に校長も感激

 最後に「ファーストフードなど今の僕らの食生活で、日本はこれからも長寿国でいられるだろうか。生産者の顔の見える旬の食材で、昔から続いてきた郷土食を作ろう」とホームプロジェクトをまとめた正太君。お母さんの寿美子さんから「我が家の定番料理」の「ひっつみ」「じゃっぱ汁」「カボチャサラダ」「ごボウサラダ」を実習付きで教わり、レシピファイルにしました。

 農家出身の校長先生も「昔の人々の苦労によく着眼してくれた。農業を大切にしたいという思いを助けるものだ」と感激。市の大会では「今、社会で注目を集めていることに良くあった、タイムリーな内容」と評価され、最優秀賞が送られました。

 受賞後の正太君は−−「ファーストフードにはまだ時々行くけど、回数は少なくなった。友達と“これ体に悪いんだゾ”って話しながら食べている」のだそう。一歩一歩、着実な「僕たちの食生活」の見直しが、なんとも微笑ましい。

(新聞「農民」2004.1.26付)
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2004年1月

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