猿の知恵農民詩人 石川 十(本名・石井淳一)〈福岡「みのう農民組合員」〉
若い頃、養鶏をしていた福岡「みのう農民組合」の石井淳一さん(68)。勤めていた会社を退職後、吉井町で農業をしています。農民組合事務の金子徳子さんは「物事の本質をずばり見抜く頼もしい仲間。『こめだより』を米部員が順番で書いていますが、間に合わなかったり、どうしても書けないと言われる方がいるとき、石井さんが書きためた作品を使わせてもらいます」と話します。「石川十」というペンネームで詩をつくる農民詩人、石川さんのエッセーを紹介します。
日光の観光地に猿がいたので、客がいたずらに食べ物を与えた。そのうちに、食べ物をねだる猿はどんどん増えて、悪さをするようになったため、町は餌をやることを禁じた。 猿に餌をやらなければ、木の芽や実を食べる、もとの山のくらしに戻るだろうと期待したわけだ。 ところが、猿の軍団は、山に戻るどころか、群れてますます凶暴になり、店の商品を盗む、客がもっている食べ物を奪うなど、手におえなくなっている。 最近、おとなしい子や、成績のよい子が犯罪を犯して、大人は対応に困っている。大人の社会も、恨みもない相手を殺したり、コメや果物を盗んだり、理解に苦しむ事件がおおく、テレビの解説者も「わかりませんねー」と、さじを投げた恰好である。 大人はグルメ旅、子供たちはテレビゲーム、金 がなくなればサラ金宣伝と、テレビ漬けになって、人は生産活動など見向きもしない。 町や農協の大きな事業は、たいてい国からの補助金によって進めてきた。補助にのらない事業はしない。 米軍基地でも、原子力発電所でも、迷惑料として億の金を貰うならいいじゃないかと、受け入れてしまう人もいる。物をねだる日光の猿と、どこがちがうのか、わからなくなってきた。そして貰う金がなくなったとき、人は自給自足のくらしに戻るだろうか、凶暴化して猿のように争うのではないかと心配する。 人が平和に生きつづけるために、環境を守り、生産に務めることを、もっと大事にしなければならないと思う。
“落ち穂拾い”新潟・瓢湖周辺の白鳥白鳥の飛来地で知られる新潟県水原町の瓢湖周辺をはじめ、県内各地の沼地などにぞくぞくと白鳥が渡ってきています。瓢湖周辺では四千余羽とのこと。夜明けとともに、「ねぐら」から餌場(えさば)の水田へ集団で移動し、まる一日にぎやかに「落ち穂」をついばんでいます(写真〈写真はありません〉)。夕方になると、「ねぐら」に戻る飛行の群は壮観です。
(新潟県連 松井三男)
(新聞「農民」2004.1.19付)
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[2004年1月]
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