全国養豚協会 たった1カ月余で反対署名52万豚肉の関税撤廃は死活問題懇談した畜全協・農民連と意気投合
メキシコとのFTA(自由貿易協定)交渉で、無関税枠の設定を求められ、たった一カ月あまりで五十万筆もの反対署名を集めた(社)全国養豚協会。同協会の常務理事、川口昭平氏が十二月十八日、農民連事務所を訪れ、畜全協・農民連の代表者と懇談しました。(写真〈写真はありません〉) 川口氏は、同協会のメキシコとのFTA交渉への取り組み経緯を生々しく紹介し、「食料自給率向上の目標を達成するには、養豚だけでなく日本の農業すべてを守っていくことが必要」と強調。畜全協・農民連の代表も「ともに頑張りましょう」と一致し、大いに盛り上がりました。 「私どもも当初、豚肉に影響があるとは考えていませんでした」と切り出した川口氏。ところが二〇〇三年の四月、「実はメキシコとのFTAで豚肉が関税撤廃品目に入る可能性がある(農水省畜産局)」ことが判明。「日本の養豚は今でも厳しい状況なのに、これは大変だ、と大慌てで動きはじめました」と川口氏。 「養豚業界で固まっているだけでは“国益”ということでつぶされてしまうだろう。まずは養豚農家九千戸で一つに固まろう」と、養豚協会、全国養豚経営者会議、全国養豚事業協同組合の三団体で「FTA等対策協議会」を設立して運動を開始。会員と活動資金を集め、七月十五日、設立総会が開かれました。 「消費者も味方になってもらおう」と資料を作って署名を集め、その数は現在、五十二万筆に上っています。八月には決起集会を開き、消費者団体も招いてシンポも行いました。「読売新聞や日本農業新聞に意見広告も出しましたし、一般の人にFTAを理解してもらう場を作ったことも署名に結びついたと思います」と川口氏は言います。 「養豚は関連産業も多く、日本の食料すべてに及ぶ問題です。食料自給率の向上は、閣議決定したこと。財務省や経産省の交渉団への要請では、豚肉の自給率は下がっているのにさらに下げるのか、食料全体の問題だと、何度も強く申し上げました」と強調する川口氏に、農民連・畜全協の代表も大きくうなずきました。 川口氏を含む「FTA等対策協議会」の代表は、WTO閣僚会議と直後のFTA交渉に合わせてメキシコ・カンクンにも乗り込み、「FTAから養豚を除外されないと、ここで腹を切らねばならないという覚悟でサムライ精神を発揮しまして(笑)」、チョンマゲ・袴姿でのパフォーマンスも。現地の食肉工場も視察し、「もう完全に日本向けで、ロース肉がスジ切り、成型までして、外食産業がすぐに使える姿で冷凍されていました」。 今後の方向について川口氏は「貿易立国である日本がアジアとのFTAを排除できないとしたら、ここは原点に戻って食料自給率の問題を国内で議論することを求めたい」と語り、「もう“オール畜産”“オール農業”で取り組まなければ。農民連の皆さんも、地域から一緒に力を合わせましょう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2004.1.12付)
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[2004年1月]
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