今年の年賀切手に
伊予一刀彫三番叟猿
姫路張り子の出世猿
サルの郷土玩具あ・れ・こ・れ
大野隆男
農業破壊の自公悪政サル日をめざして
毎年の年賀切手のデザインに十二支の動物の郷土玩具が使われるようになってから、もう半世紀がたちます。最初は一九五四年、福島県の三春駒です。
毎年めぐりくる年を迎えて、今年はどんな郷土玩具が選ばれるかと楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。日本人に長い間親しまれてきた動物が愛らしい形でえがかれた郷土玩具の姿は、新しい年の初めを暖かな雰囲気で包んでくれるようです。今年の郷土玩具切手は、伊予一刀彫り三番叟(さんばそう)猿(愛媛県)、姫路張り子の出世猿(兵庫県)です。
人間の生活環境近くに住んでいて、人間の開発が進む中で追い払われ、今日では「猿害」が話題となるサルですが、「サルから人間へ」というように人間にもっとも近い動物としてヒト・サル関係は歴史的に濃密といえます。そのためか、郷土玩具の対象として多く取り上げられています。
土人形の元祖・京都の伏見人形には、昔、正月にサルや馬、ひょっとこなどの張りぼてのかぶり物をつけて門づけの物ごいをした姿を模した愛嬌のある土人形の「さるちょろ」があります。
サルの好物、柿や桃と組み合わせた物も多く、柿に乗った首振り猿の張り子「柿乗り猿」(静岡県浜松市)は、なかなかしゃれたものです。堤人形(宮城県仙台)にも柿乗りがあります。桃をかかえたのには、芝原土人形(千葉県)、小幡土人形(滋賀県)などがあります。
他の動物や人との組み合わせでは、古賀土人形(長崎県)の「馬乗り猿」があります。同じ古賀人形には、鶏を抱いたサルもあります。これは次の年の干支に引っかけたものでしょう。広島県宮島には「鹿猿」があります。子どもがサルを抱えたのは古博多人形(福岡県)です。同じサルを抱く「笹野才蔵」(豊臣秀次の臣、ホウソウの疫病鬼退治の勇士)もあります。
特異なのは、宮崎県の代表的玩具の「昇り猿」です。猿舞の太鼓を背負い、烏帽子をつけた張り子の猿が、紙のぼりの揺れにつれて上下する仕組みのものです。
紹介しきれないほどサル玩具は多いのですが、以上は、いずれも現存のものです。このどれかひとつを机上に置いて、国民生活圧迫、イラクへの自衛隊派兵、農業破壊の自公悪政のサル日めざして、今年も元気で頑張っていきましょう。
(郷土玩具研究家)
(新聞「農民」2004.1.5付)
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