21世紀への挑戦誰でもできる無農薬・有機稲作(11)稲葉 光國
病害虫発生防止と食味・栄養価無農薬栽培は、病害虫が発生しても化学合成農薬を散布しないというのではなく、病害虫発生のメカニズムを知って、健康なイネづくりで発生を未然に防ぐ農法です。稲作で問題になる病害虫には(表1)のようなものがあります。
病害虫の発生は、そのほとんどが過剰な窒素がアミド(主にアスパラギン)という形で茎葉に蓄積することによって発症します。特に、密植をすると本田中期から光合成効率が低下し、天候の悪化が引き金になって発症するケースが多くなります。また、過剰な窒素追肥や根腐れによってリン酸吸収が衰えると発症します。 化学肥料を少し多めに追肥すると贅沢吸収が起きて病害虫の発生が増えますが、土着微生物を多く含んだ良質の発酵肥料を投入した場合はアミノ酸吸収が多くなり、アミドの蓄積が少なくなって病害虫の発生を防止するとともに食味の向上にもなります。 有機米を市販の食味計で測定すると食味値があまり高く出ない場合があります。これは、玄米に含まれる窒素化合物すべてをタンパク質と見なして数値を算出するためです。食味低下の原因であるアミドの少ないお米であれば、タンパク質の総量が多くてもおいしいお米です。 お米のタンパク質は蕎麦に次いで必須アミノ酸価(栄養価)が高くなっています。特に有機栽培米ではMg/K比が高まり、亜鉛などミネラル成分が多く含まれる(表2)など、栄養価の向上が見られます。
(NPO法人民間稲作研究所 代表)
(新聞「農民」2003.2.24付)
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[2003年2月]
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