21世紀への挑戦誰でもできる無農薬・有機稲作(9)稲葉 光國
移植密度と肥培管理田植え前に検討しておかなければならない最も重要な事項として、一株に何本植え、坪あたり何株植えるのかという移植密度の決定があります。品種や苗質によって差がありますが、イネには一本の苗が九本〜二十七本程度に分げつし、穂をつける能力があります。一株で三十本の茎が伸長すると、株内で光や栄養の奪い合いが生じ、病虫害を誘発しますから、一株一〜三本の範囲で植え付けることが病虫害を防止する第一歩です。 また、一〜三本植えを行っても、坪あたりの植え付け株数が多くなると株同士の光や養分の競合が生じ、倒伏や障害不稔、モンガレ病、イモチ病の発生につながります。 植え付け密度は、田んぼの肥沃度や地域の気温・日射量などに合わせて決めなければなりません。紙面の都合で詳しく述べられませんが、地域ごとの最適穂数の目安がありますので、慣行栽培による植え付け密度の八割程度にするようにして下さい。 苗質が悪い、早生品種である、初期水温が低く茎数を取るのが難しい、痩せ地である、遅植えであるといった場合には多めに植え、その逆の場合は少なくします。 途中で消えてしまう分げつを無くし、分げつした茎が全部穂になるようにして、有効茎歩合一〇〇%のイネづくりをめざすことがポイントです。 さて、移植密度の次に重要になるのが肥培管理です。元肥は、痩せ地や水温が低いなどの場合、三月中旬頃に発酵肥料で八十キロ、米ヌカであれば百五十キロ前後を散布します。なるべく早く耕起して代かきを行い、肥効を早めに出すよう心掛けて下さい。肥沃な土壌で苗質が良ければ、この半分の元肥で充分です。 茎数が図のようになれば問題ありません。田植え一カ月後の六月二十日に、一株で十本程度の茎数が理想です。 この時点で葉色が5以上であれば追肥は中止し、もし5以下であった場合には発酵肥料をペレットにして二十キロ前後投入します。倒伏することはありませんからご安心下さい。 (NPO法人民間稲作研究所 代表)
(新聞「農民」2003.2.10付)
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[2003年2月]
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