21世紀への挑戦誰でもできる無農薬・有機稲作(8)稲葉 光國
抑草成功のポイント――田植えと抑草資材の散布抑草法のポイントはコナギ、ホタルイの発生をどう抑えるかということで、田んぼの条件によっていくつかの抑草技術を組み合わせて実施することになります。コナギが良く発生する田んぼは水はけの悪い水田です。早くから水田として使われている低湿地ですから、クログワイやオモダカといった宿根性の雑草もよく発生します。こうした水田で除草剤を使わない抑草を成功させるポイントは以下の七つです。一つでも欠けると成功しませんから、くれぐれも手抜きのないように実施して下さい。 (1)クログワイやオモダカの多発する水田には有機質肥料は入れずに乾燥する時期を見計らって二〜三回やや深めに耕し、球根を乾燥させる。代かき前までにトラクターを走らせ耕盤を作ると良い。水はけが悪く乾燥しない場所は二〜三年手取りをするか、アイガモ等で除去する。 (2)六十グラム以下の薄まきを行ない草丈十六cm前後、葉令四・五葉以上のしっかりした成苗を育苗する(育苗期間は三十五〜四十日となります)。 (3)三十cm以上のしっかりした畦畔を整備し、田植え後三十日間八cm以上の水位を保つ湛水管理をする(一日でも田面が露出するとヒエが生き残って失敗します)。 (4)田植えは田んぼの水温が二十℃を越える五月下旬とする。 (5)三月末に水が来るところでは元肥として米ヌカまたは発酵肥料を散布して浅く耕起し、湛水してトロトロ層の形成を促す。水の来るのが遅いところはクズ麦を播種するか冬草を活用して代かき直前に浅くすき込む(深くすると根腐れの原因になるので要注意)。第一回目の代かきは遅くとも田植え十日前に実施し、五cm前後の水深でドライブハローを高速で回転させ、浅い代かき(五cm前後)を行って湛水管理を十日間続ける(湛水しないとコナギが発芽せず、田植え後に一斉発芽して失敗する)。 (6)二回目の代かきは雑草や散布した米ヌカなどが出す有機酸の少なくなる十日後を目安に行い、五cm前後の浅い代かきを行って発生したコナギなどの雑草を練り込んで仕上げる。 (7)田植えは代かき後三日以内に行い、田植え当日または翌日までに米ヌカペレット八十〜百kg、初期生育の悪い水田や、ホタルイの多発する水田では米ヌカペレット四十kgとクズ大豆四十kgを散布して、八cm以上の水深を保つ(米ヌカの量よりも散布時期がポイントですから、どんなことがあっても適期を逃さず実施して下さい)。 この適期散布を確実に行ない、省力化する方法が田植同時散布です。マット苗では前回の写真のライムソアーの取り付けが可能です。またポット田植機の場合は座席の後ろに取り付けて散布するのが便利ですから、実施してみて下さい。 (NPO法人民間稲作研究所 代表)
(新聞「農民」2003.2.3付)
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[2003年2月]
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