少子化でも増え続ける障害や病気の子どもたち長野県「食と教育を守る会」原 金二さん長野県佐久市で二〇〇二年十月五日から二日間にわたり行われた食健連全国代表者活動者会議での発言を紹介します。
私は長野市にある障害児学校に勤めています。いま、子どもたちは大変な状態にあります。 障害児教育が専門ですが、私の学生時代はいろいろな公害が出てきた時代で、将来必ず人間に及ぶだろうと心配していました。現状は、私の予想をはるかに上回る時代になってしまいました。障害や病気の子どもたちの数は増え続けています。子ども全体の数が激減しているにもかかわらず、養護学校に入学してくる子どもたちは毎年、千数百人〜二千人増え続けているのです。 最近また、教室の“荒れ″などが問題になっています。この子どもたちの中には、脳に損傷があったり、脳の伝達物質に異常があったりする子の存在が疑われています。 アメリカや日本の研究では、重大犯罪を起こしてしまった人の脳に損傷がある者が多いとの報告があります。イギリスの研究では、犯罪を起こした子どもたちにビタミン剤を与え続けたところ粗暴な行動が減ったとの報告もあります。 人間の体の材料はすべて食べ物です。障害や病気と食べものの関係は切っても切り離せないと思っています。 心の育ちの背景も大切です。戦後まもなく、食糧難のなかから子どもたちの健やかな成長を願って学校給食が始まりました。文部科学省の調査によると、今でも子どもたちの栄養が十分に摂れているのは学校給食のある日だけだというのです。これだけ飽食の時代になっても学校給食の役割は変わっていないのです。朝食抜きの子どもが十数%、若者は四人に一人で、食べものの偏りもひどくなっています。 また、子どもだけで食事をする家庭が増えています。親から社会的な規範を教わる、いわゆるしつけを受ける一番よい場面は食事の時間です。のびのびと心も体も開放され、家族で食卓を囲む風景が減り始めています。親から食文化はもちろん、社会的な生きる力を教わる機会が減った子どもたちの規範意識は諸外国と比べて大変悪くなっています。 このようなことを調べていけばいくほど、食健連が取り組んでいる食の安全性、日本の食糧自給率の問題などすべてが結びついてくるのです。 私たちは、学校給食を営利企業に委託するのでなく自校給食で、できるだけ子どもが育つ地元の産物で、作る農家の方の顔が見える、子どもたちも農業体験ができる、調理する人ともつながれるものにすることを願っています。保護者と地域の方と学校が手をつないで心も体もきちんと育てる運動を進めたいと思っています。
(新聞「農民」2002.10.28付)
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[2002年10月]
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