農業委員が守る米守る先頭に茨城県 横田 千之
いま農水省は日本農業の柱である米政策を大改悪するという。こんな重大な問題を、地域の農業を守るために懸命にがんばっている農業委員会の存在を無視して進めている。農業委員として怒りが湧いてくるのは私だけではないだろう。 しかもその内容は、日本人の主食である米を、いっそう外米に依存させ、米流通を一部の大資本にゆだねるものだ。こんなやり方は絶対に許してはならない。 「米価の値下げを抑えるためやむをえない」「米輸入を阻止するために」といわれ、農民は減反に協力してきた。しかし、米価は暴落し、採算価格を大幅に下回った。米の輸入は七十七万トン(MA米)。ところが、政府は「輸入米は主食の価格には影響ない。従って減反の面積も関係ない」という。こんな政府の話をまともに信じる農民がいるだろうか。農民はますます不信を抱くだけだ。一体どこまで農民から搾り取れば気がすむのか。 WTO協定を押しつけた当のアメリカでさえ「不足払制度」を復活させ、自国の農業を守っている。アジア各国でも支持価格の引き上げが行われている。農業に市場原理をあてはめることに無理があるからであり、価格保障は世界の流れだ。 これまで農民は戦中・戦後の食糧難を克服し、日本の農業を守り、発展させてきた。ところが、今日の農業・食料政策は何をもたらしたか。いま輸入農産物の残留農薬や食品の偽装事件など、食の安全に関する信頼が失われている。「輸入障壁をなくす」としてとられた安全基準の緩和などが及ぼした影響は計り知れないと思う。 いま緊急にやるべきことは、MA米を削減・廃止し、米の価格を採算ベースに引き上げることだ。全国の農業委員が米を守れ、農業を守れの先頭に立つときだ。 (茨城県藤代町農業委員・茨城農民連会長)
(新聞「農民」2002.8.26付)
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[2002年8月]
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