食塩の添加物 スピード許可“外国で使っているから日本でも”とは!?
「日本は食料輸入大国だから、外国で使っている添加物を日本でも使っていいことにしよう」――協和香料化学やミスタードーナツの肉まんなど、違法添加物が原因で商品回収が相次ぐなか、厚生労働省は、新たに二十六品目もの食品添加物を、職権で認可すると発表しました(表)。その第一弾として、食塩の添加物「フェロシアン化物」が七月二十六日の薬事・食品衛生審議会で、十分な議論もないままスピード認可されました。
いま、国民の安全と健康をおびやかす大改悪が、厚労省の「職権」だけで推し進められようとしています。 六月中旬、埼玉県の業者が中国産のフェロシアン化塩を自主回収。しかしもっと深刻だったのは、こういう輸入の塩を使った加工食品・輸入食品が膨大な量 にのぼることでした。そこで厚労省は「商品回収が広がると市場が混乱するので、急いで認可して規制も回収もしない」という無責任な対応をとることにしたのです。 さらに厚労省は二十六品目の拡大認可についても「輸入食品が六割を占める現状では、今後も未指定の添加物を使った食品が輸入される可能性が高いので、アメリカやヨーロッパとの国際基準との差をなくす」と、大転換の動機を涼しい顔で発表しました。 これには消費者団体や生協が大きな反対の声を上げる一方、大喜びしているのが食品業界、商社や流通 業界です。相次ぐ商品回収に悩まされてきた業界からは、これまでも「輸入しやすいように、欧米と同じ添加物基準にしろ」との猛烈アピールがありました。業界は今後七十品目の指定を申請する予定です。 さらに、厚労省の方針転換の裏には、実はアメリカなどの外国からの猛烈な圧力も働きました(認可までの経緯を参照)。 「慎重に審議・検証を」との要望書を送った日本塩工業会の理事技術部長尾形昇さんは、今回のフェロシアン化塩の認可について「食用塩は、国内自給が基本。国内の食用塩にはまったく必要のない添加物であり、安全性を十分に検討すべきだ。アメリカの一言で、審議もせずに決まるのは疑問だ」「フェロシアン化物は数ある塩の添加物の中でも、特に問題がある。安く上がるので使いたがるのだろうが、危ないものからいわば抜き打ちで認可するとは、どういうことか」と話しています。 農民連、食健連も、今後、食品添加物の削減を求めて要請に取り組む予定です。
■食品添加物
■フェロシアン化物
■厚労省の方針転換とフェロシアン化物認可までの経緯
(新聞「農民」2002.8.12付)
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[2002年8月]
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