「農民」記事データベース20020812-551-03

小作料より高い固定資産税

引き下げは緊急の課題〈愛媛〉


 米、みかん、野菜などあらゆる農産物価格が暴落しているなかで、固定資産税は歯止めなく上昇しています。

 地方都市である松山市、今治市など愛媛県内十五市町村の市街化区域農地面積は二千ヘクタール(推定八千戸)あります。固定資産税は十アール当たり四〜七万円で、標準小作料の二〜三倍となっています。国税当局の試算した米の所得標準からみても固定資産税が農業収益を上回り、赤字です。

 農業用施設用地(農用宅地、約五万戸)なのに宅地並み課税がかけられ、農家は農地並み課税にしてほしいという切実な要求を持っています。

 愛媛県農民連は、二〇〇〇年の固定資産税の基準年度評価替えに取り組みました。第一は、農業用施設用地すべてを農地並み課税にすること、第二に市街化区域農地の固定資産税を標準小作料以下に引き下げること。これらを中心に二市三町で五十件の審査申出をしました。評価課税を引き下げるなど部分的な成果をあげましたが、残された問題もありました。

 造成費の問題

 その一つが農業用施設用地での造成費です。造成費は平成十二年一月一日の東京都二十三区の例が標準的なものとして全国的に使われています。松山市や今治市では三年ごとに新しい造成費で計算していますが、造成費のうち擁壁費の「コンクリートブロックや石垣」などの構築物を償却資産の扱いとしていません。

 山口市では造成費の中から擁壁費部分の六六%〜七八%を差し引いて計算しています(表1)。実態に即したもので実施させることは全国的な課題です。

表1 山口市と自治省の造成費の比較
(1平方メートル当たり)
盛土の高さ
山口市
自治省

30cm
50cm
70cm
100cm
150cm
200cm

565円
862円
1,159円
1,604円
2,345円
3,088円
2,600円
3,200円
4,000円
5,300円
7,400円
9,500円
(注)自治省の造成費は平成11年8月24日付の自治評35号から

 地方都市での運動が急務

 また、地方都市の市街化区域農地の固定資産税は、三大都市圏と区別(法律上)しながらも、地価が下がっても固定資産税は上げるという仕組みのもとで十年後には三十万円前後になります。松山市の場合を試算してみると、十八年後には十アール当たり三十八万円となります(表2)。固定資産税と小作料の差額が計り知れないほど拡大されます。和歌山市では、小作料を上回る固定資産税を減免しています。農地法上からも、すべての市街化区域農地に広げていくことは当然です。

 
表2 松山市の市街化区域農地の固定資産税の推移
(18年後、10アールあたり38万円に)
2000年
2003年
2006年
2009年
2021年
51,511円
68,516円
91,254円
121,663円
381,193円
松山市の2000年における10アール当たりの標準小作料は、上田で28000円、中田で23000円、下田で11000円。
(注)2003年以降は市街化区域農地の負担水準0.7未満、負担調整率1.1倍として計算しました。

 都市計画法にもとづき市街化区域が指定されているのは八百四十九市町村、その面 積は百四十三万七千余ヘクタールにのぼります。市街化区域農地を持つ地方都市での運動が緊急の課題となっています。

(愛媛県連 岡田厚美)

(新聞「農民」2002.8.12付)
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2002年8月

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