旬の味
暦に一粒万倍日がある。この日に種子を蒔けば順調に育ち、万倍もの実を結ぶという▼四月に播種した水稲が三カ月過ぎ、間もなく出穂開花となる。よく見ることだが田植えされた列からはみ出して一本の苗があぜ寄りに根をおろしている。たぶん、こぼれた苗が風に運ばれたのだろう。草刈りには邪魔な存在だが、雑草と一緒に刈り払う気になれず、そうっと残してやった。もう二十本余りに分けつしていて二千粒以上の米を実らせるはずだ。たかがご飯一杯分の量にすぎないが、八億人が飢えに苦しむ人々を思うと貴重である▼年一回しか出来ない米作りに一粒でも多く穫るために最善の努力をする。毎年違う天候から百姓は毎年一年生の気持ちを持つ。稲と話が出来れば一人前とも言われる。農民の思いは同じだ▼米「改革」(中間取りまとめ)の農水省でのレクチャーに出た。米が計画より多く穫れたら「余りものに値なし」だと言う。農民の誇りを切り裂いても痛みを感じない官僚。こういう者こそ「余り・者に値なし」である。即レッドカードだ。 (長)
(新聞「農民」2002.8.5付)
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[2002年8月]
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