旬の味
借りた畑にスギナがはびこっている。ネギは植えたばかりだから管理機はダメ。管理機の爪でスギナを切るとそれがまた増えるもとになる。だから一本ずつ指で抜く▼スギナの根は地獄まであるそうな。土の中に指を突っ込んでゆっくり引っ張るといくらか伸びる。さては抜けてきたかと思うと弾力があって引っ張られている感じだ。誰かが地下で引っ張っている! そのうちにプツンと音がして切れて抜ける。『イワンのばか』(トルストイ)の小悪魔だ! ととっさに思った▼イワンが犂(すき)で畑をおこしているとちょうど木の根にでも引っ掛かったように、強く引っ張るものがある。小悪魔が両足で犂のふたまたに絡みつき、しっかりおさえたのであった▼プツンという音は小悪魔の尻尾が切れたのではないか▼五月なのにシャツは汗だくだ。小悪魔に負けずに今日も私はネギ畑で働く▼「生き甲斐農業だ」と笑わば笑え。そんな人に土地を欲張って死んだ人の民話「人はどれだけの土地がいるか」(トルストイ)の一読をおすすめする。 (節)
(新聞「農民」2002.6.17付)
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[2002年6月]
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