産直協総会消費者の願いに応える新たな組織作りを
異常な価格暴落が続き「まるで地獄をみるようだ」と悲痛な声が農村に充満するなか、産直運動全国協議会は、五月二十八〜二十九日、三十都道府県五十九組織、百四十八人が参加して、静岡県浜松市で第十四回総会を開きました。厳しいなかでも、「運動で事業を切り開いてきた」実践が交流され、偽装表示問題などで高まる、消費者の食と農への関心に応える組織の確立をめざして熱心に討論しました。 特別報告で真嶋良孝農民連副会長は、「アメリカの新農業法をはじめとして、世界の流れは『農産物には価格保障が必要』。それにひきかえ、日本はWTOを金科玉条に価格保障制度をつぶしている。世界の農民と手を結び、価格保障を求める運動を強めよう」と呼びかけました。
仲間を励ます各地の取り組み自らが十トンのタマネギを廃棄した北海道の小清水産直センターの工藤孝一さんや、津軽農民組合の須藤宏さんは、「昨年の農協出荷のタマネギ価格が、仮渡価格よりも安く、来月の本精算では、農家一戸当たり五百万〜一千万円を農協に払い戻さなければならない」「リンゴも一箱当たり百円の払い戻しになる」などと発言。 九州ブロックネット代表の村尻勝信さんは、「イグサの輸入急増で、生産は最盛時の三分の一。暫定セーフガード発動で見通しができたと喜んだが、本発動が中止されて生産意欲が急速に失われている」と述べて、「セーフガード発動を求める運動の再構築と、本格的なイグサ産直の可能性を話して仲間を励ましている」と語りました。 奈良産直センターの高砂樹史さんは、「春の運動で税金と産直の相談会のビラを十万枚まいて迎えた五十八人の仲間に、センターの販売計画を示して生産を訴えている」活動を報告しました。 茨城県連の飛田元雄書記長は、偽装事件を起こした茨城・玉川農協について発言。「東都生協との産直を始めた当時、八十一戸あった養豚農家が、現在では七戸に減っている。この根底には、『仲間を増やせば、自分の所得が減る』との思いがあったからだ」と述べ、「四年前に入所したミートセンターの食肉専門の職員に、『産直とは何か』という教育をまったくしていなかった。産直組織は、こうした点から様々な教訓を引き出すことが必要」と強調しました。 大阪の原弘行さんは、「農業が厳しい状況に追い込まれていることを、なぜ私たちに教えてくれないのか」と生協職員を批判している生協組合員の声を紹介し、「生協の中にも衝撃が走っている。無理な数合わせには、『ないものは、ない』とはっきり言える、『人と人との関係』を作り上げることが大切だ」と発言。また、「すべての生産者の栽培記録を組織で保管し、いつでも公開できるように準備を進めている」「有機農業に挑戦し、絶滅寸前のトンボやメダカの保存にとりくんでいる」など、各地の取り組みが具体的に報告されました。 齋藤敏之・産直協事務局長はまとめで、「発展した運動に見合う新しい組織作りに向けた実践と議論を全国で積み上げよう」と呼びかけました。 総会は、最後に「戦争国家への暴走を許さず、有事関連三法案に私たちは反対します」の特別決議を採択しました。
(新聞「農民」2002.6.10付)
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[2002年6月]
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