殺すより、増やさない害虫防除 (5)
虫の基礎知識 多角的な防除防除とは予防と駆除を合わせた言葉です。多発してからの駆除よりも多発させない対策が大切です。防除方法には次の四つがあります。
(1)耕種的方法(生態的管理)連作によって害虫の被害は増えますが、輪作によって被害は減ります。多品目の輪作計画を地域で実施できれば理想的です。また、消費者に、季節の色々なものを食べてもらうことで、輪作が継続できると思います。施肥の過不足に注意して農作物を丈夫に育てることが大切です。品種比較試験を継続して行い、害虫の被害の少ない品種を選びましょう。
(2)物理的方法(バリケード法)アブラムシには羽のあるものがあり、飛来して農作物にウイルス病を伝染します。農作物を寒冷紗で覆う方法や竹ざおに銀色のテープを付けて畑に立てる方法があります(写真〈写真はありません〉)。また、土壌線虫防除のため、夏にハウス内や畑全面を透明なマルチで覆い、太陽熱で地温を六〇℃〜七〇℃にして死滅させる方法があります。
(3)化学的方法(化学合成農薬の使用)農薬は、残留毒性の点から使用基準があること、同一薬剤を連用していると害虫に抵抗性がついてくること、天敵が先に死ぬことなど多くの問題があります。農薬は普通、若い幼虫(ガの幼虫なら二回目の脱皮前、体長一センチくらいまで)にしか効きません。ヨトウムシなどの若い幼虫は、サトイモなどの葉の裏に固まっているので、防除の適期です。その場所は卵が産み付けられた所ですので、産卵習性の知識も必要です。(つづく) もうひとつの生物的方法(天敵の利用)は次回に述べます。 桑山洋三(農の会会員)
(新聞「農民」2002.6.3付)
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[2002年6月]
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