「農民」記事データベース20010730-503-06

多様な産直運動の出発点

朝市・直売所

農民連・産直協の調査から

 農民連・産直協は、全国でとりくみが進む朝市・直売所の実態を把握し、今後の発展に生かそうと全国調査を行いました。地域の生産力を掘り起こし、多様な産直運動の出発点になる朝市・直売所。調査結果のポイントを、産直協の斉藤敏之事務局長に聞きました。


「自主性を発揮する」

ここに発展のカギが…

 気軽に開設できる朝市や直売所の一番の特長は、価格や持ち込み数量を、生産者自身が決められるということでしょう。

 今回の調査結果でも、価格を生産者の裁量にゆだねている組織は六六%、何をいくつ持ち込んでもいいという組織は六九%です。この「価格や持ち込み量を、生産者の自由にしている」組織に聞いたところ、「生産者を増やしている」六二・五%、「売上を伸ばしている」七二・七%という回答でした。

 一方、販売量や価格を請け負っている組織に共通している悩みは、売上や生産者数の伸び悩み、残品処理など。これは、興味深い結果だと思います。

 直売所への期待「交流」が一番

 「生産者が直売所に期待するもの」は、一位が「売れ行き」七四・六%、二位が「消費者の反応」六六%です。自分の農産物を消費者がどのように評価するか「わくわくしている」様子がうかがえます。価格に対する関心は三二%で、あまり高くありませんでした。

 一方、消費者の反応はどうでしょう。関東農政局が九八年三月に行った調査では、消費者が直売所を利用する理由としてもっとも多かったのは「品質・鮮度が良い」八五%で、「量販店等と比べて安い、または変わらない」四四・七%の約二倍。直売所では、生産者、消費者とも、価格が高いか安いかよりも、品物の売買を通じたプラスアルファを求めているようです。

 地域との共同広げる中で仲間に

 回答を寄せた朝市・直売所のうち、六七%が、新聞「農民」の紹介や署名など、消費者に農業と食料を守ろうと呼びかけています。農民連は「運動で事業を切り開こう。生産者と消費者の共同で新しい流通を作ろう」を合言葉にしてきましたが、その方針がしっかりと実践されています。

 直売所の四割が、農民連会員以外の農家と共同で朝市・直売所を開いており、地域農業を支えるとりくみの共同が広がっています。この人たちは、農民連にお誘いする大切な仲間でもあります。最近、千葉県で、百人を超す参加者を組織する直売所が、そこに参加する三十五人の農民連会員の努力で、県連への団体加入を決めたといううれしい知らせも届いています。

 直売所の主人公は、何といっても農民と消費者です。地域での共同を積み重ね、それぞれの地域にあった多様な産直運動の基礎になる「朝市・直売所運動」を進めましょう。

(新聞「農民」2001.7.30付)
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2001年7月

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