参議院選挙の公示にあたって訴えます二〇〇一年七月十二日 農民連常任委員会
一 日本農業と農民経営を根本から左右する参院選挙が七月十二日公示、二十九日投票で行われます。 「営農は限界にきている。俺の代でも続けられるかどうか分からない」という声が各地から聞かれるほど、農家の営農と暮らしは切迫しています。 「セーフガード暫定発動をかちとった力で、農業・農山村を復権させよう」「いまこそ自民党農政を根っこから変えるチャンス」として参院選挙を位置づけ、農民の要求を前面に掲げて奮闘することを心から訴えます。 二 「外米を輸入して減反を強制するのはやめてほしい」「生産費に見合う米価にしてほしい」「セーフガードを発動し、野菜や果実の価格の暴落をくいとめてほしい」「固定資産税を軽減し、相続税納税猶予制度の廃止はやめてほしい」などの切実な要求が農村に渦巻いています。 米価暴落の原因である外米の輸入を削減するには、内閣の統一見解を変更するだけで十分です。米価の回復は、暴落前の価格を基準にして自主流通米入札の値幅制限を復活すればできることです。セーフガードの本格発動や他品目への拡大もWTO協定に沿って進めればよいことです。 このように政府がやる気になればすぐにでもできるし、一円も予算を使わなくても農民の要求にこたえられるにもかかわらず、小泉内閣は、これをやろうとしていません。それどころか、農業者年金を一割カットし、「構造改革」で農家を四十万戸に削減しようとさえしているのです。それなのに、農村の現場では「構造改革」で生き残れるかのような幻想をふりまいているのです。 大銀行には湯水のように税金を注いで助ける一方で「『創造的破壊』によって非効率、低収益の産業」(農業や中小企業)は撤退してもらうという不良債権処理によって倒産と失業を生み出し、消費税を増税し、社会保障を切り捨てるという「骨太の方針」まで打ち出しました。 三 「改革」を看板にしている小泉内閣に対して、「米価を上げてくれるのではないか」「セーフガードの本格発動をしてくれるのではないか」「暮らしを良くしてくれるのではないか」という期待の声も聞かれます。また「誰が政治をやっても同じ」という根強い政治不信もあります。 これまでの自民党農政に怒りをもちつつも、農民の心情は複雑です。しかし、ワラにもすがるこの思いを本当に実現できる政治に変えることを呼びかけ、小泉内閣の「骨太の方針」は農民に何をもたらすか、農民連はどうしたらよいと考えているかを新聞「農民」号外で宣伝し、対話を進めれば必ず共感と期待を集めることができる、と各地から対話運動の経験が寄せられています。 農業がこれだけひどい事態ですから、みんなで力を合わせて政治を変える以外に農家の生きる道はありません。 参院選挙は十七日間しかありません。すべての会員が、一日のうち三十分でも時間をさいて、まわりのすべての農家と対話する意気込みで参院選をたたかおうではありませんか。
(新聞「農民」2001.7.16付)
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[2001年7月]
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