「農民」記事データベース20010709-500-19

映画「郡上一揆」を観賞して


 映画「郡上一揆」が各地で上映されていますが、飯野武志さん(山形地方農民連事務局長)から感想が寄せられました。

 物事の善悪は歴史が証明するという。

 江戸時代最大の農民一揆「郡上一揆」の上映に文部省選定、県知事推奨、推薦、後援は県教育委員会、県小中高校長会、商工会連合会とあらゆる団体が名を連ねている。

 宝暦年間、美濃の国郡上播では年貢取り立て方法を出来高に変え、農民へ押しつけたのが一揆の発端。もともと藩の放漫財政のツケを農民への重税であがなおうとする魂胆だった。

 郡上総百姓の願いを百二十の村々から三千人以上が八幡城に駆けつけ、幕府裁定までの数年に及ぶ苛酷で壮烈な農民闘争の歴史であった。

 いつの時代にも裏切りや懐柔策が群衆をまどわすが、郡上の農民たちは結束し、決死の覚悟で代表を江戸藩邸へ直訴させる。当時、直訴はご法度であり、打ち首獄門の極刑が待つ。

 農民の願いを直訴し、村あずけとなり竹篭に入れられて囚人同様の代表たちを数知れぬ群集が取り囲み、両手を合わせて伏し拝み、口々に「大明神」と涙を流すシーンを観て、われも感激の涙を禁じえなかった。

 理不尽な搾取に対して立ち上がった農民たちのたたかいは、後々まで検証されるべきと思う。

 現在、日本の農業を守るには、WTO農業協定から日本の主食である米をはずし、義務でもないミニマムアクセス米の輸入を断り、米価を下支えする自主流通米の値幅制限を復活させ、減反の押しつけをせないこと。また、セーフガードの本発動へのたたかいなどを進めていくためにも「郡上一揆」の万分の一でも、農民魂を育てていきたい。

(新聞「農民」2001.7.9付)
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2001年7月

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