「農民」記事データベース20010702-499-06

安い農産物の向こう側

タイの農村はいま

山本 博史


「村づくり基金」で各村に資金提供

 タクシン政権成立の基礎となった愛国党の選挙公約のうち、もっとも注目されているのが「村づくり基金」です。全国に七万以上ある村に、それぞれ百万バーツ(二百八十万円)ずつ提供して村落開発にとりくもうというもの。

 これと関連して、四月末には大分県の平松知事を招いて「一村一品」の村おこし活動についての政府主催によるセミナーも開かれました。

 「大分県では、この計画で一戸あたり月十万バーツ(二十八万円)も稼いだ。タイでもせめて月五千バーツの追加収入を」と、マスコミは報道しています。

 七月に資金提供が行われるため、各村ごとに「村づくり基金のための委員会」が設置され、使途を決め、基金管理をすることになっています。

 しかし、NGOグループなどは、すでに設置された委員会のメンバーのほとんどが愛国党支持の有力者で占められ、私物化されようとしていると告発しています。

 数年前の通貨危機直後に、日本は円借款を提供、この「宮沢基金」による農村の仕事づくりを応援しましたが、道路工事の人件費などに使い果たされました。

 政府予算局によると、前号で紹介した三十バーツ医療制度で九十億バーツが、借金棚上げのための銀行補てん金として七十億バーツが必要なうえに、「村づくり基金」の総額は七百八十億バーツ。計上は不可能で、全額を政府系銀行からの借り入れでまかなうしかないと、お手上げの状態です。

(新聞「農民」2001.7.2付)
ライン

2001年7月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2001, 農民運動全国連合会