「農民」記事データベース20010702-499-02

トマト農家などが悲鳴

依然続く価格暴落

輸入制限(セーフガード)三品目以外にも発動を


 「ニンジン一箱(10キロ)が六百円〜千円。去年は悪かったが、今年もひどい」「ミニトマトの一番いいやつが一箱(4キロ)五百円にしかならない。輸入が増え出してから、年間通して“大安売り”状態だ」――昨春、過去最悪と言われる価格の暴落に見舞われた野菜産地から、今年もこんな悲鳴が聞こえてきます。

 図(図はありません)は、去年と今年の五月下旬の野菜の市場価格を比べたもの。野菜全体では、百五十五円から百六十一円へ、ほんのわずか(約四%)上昇していますが、トマトは昨年、三割も下がったのに、今年はさらに一二%も下落するなど、中には暴落が続いているものがあるのには驚きです。ニンジンは一七%上昇していますが、昨年が前年比で半値に落ち込んだので、「ほとんど暴落水準を回復していない」というのが実態です。

 こうした実態を反映して各地から、暫定発動している三品目(ネギ、生シイタケ、畳表)のセーフガードを本格発動に移行させることに加えて、「他の品目にもセーフガードを拡大しろ」という声が続々とあがっています。六月十八日に県議会で採択された茨城県の意見書では、本格発動とともに、干しイモとレンコンを監視対象品目に加えることを要望。大分県ではトマト、花き、干シイタケ、高知県ではキュウリとショウガを、セーフガード対象品目に加えるよう求める運動が広がっています。

 ところが、「他品目への拡大」どころか、三品目の本格発動さえやりたくないというのが、小泉内閣。「あくまで暫定的なもので、構造改革が必要」――小泉首相(「日経」五月一日)、「三品目は暫定発動だけで終われば一番良い」武部農相(「日経」四月二十八日)、「WTO協定の精神から言うと(セーフガードは)よくない」――塩川財務相、などなど。そろいもそろって、こうした農家・産地の切実な願いに背を向ける勢力に、痛打を浴びせる絶好のチャンスが参院選です。

(新聞「農民」2001.7.2付)
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2001年7月

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