「農民」記事データベース20010129-478-11

がんばってま〜す!

“脱サラ”就農した婿さん

千葉・船橋市 小林宏明さん


 「自分でやる仕事がしたかった。義父は本当に農業が大好きで、産地を訪ね現地の農家に話を聞いて新しい技術を取り入れていく。自分もそうなりたいと思っています」

 こう言うのは、二年前に脱サラ就農した小林宏明さん(30歳、千葉・船橋市)。両親とともに、借入地も含めて三ヘクタール弱の畑でホウレンソウ、ダイコン、ニンジン、トウモロコシ、ナスを作り、船橋農産物供給センターや市場に出荷しています。親子で軽トラに積んだ荷をセンターに運び込む姿が、すがすがしく映えます。

 群馬県のサラリーマン家庭に育った宏明さん。学生時代に妻のこづ江さん(29)と知り合い、卒業後は職場が近い妻の実家から通勤することに。休みの日には、ニンジンの間引き作業など忙しい実家の農作業を手伝ううちに、義父の会田和男さん(54)の農業への熱意に触発されて、「農業をやりたい」と思うようになりました。

 「収入だけを見ればサラリーマンの方が上だけど、手をかけた作物がよく育った時に『ヤッター』っていう充実感が農業にはあります」と宏明さん。

 そんな息子を、和男さんは「始めて二年くらいだからまだまだこれからだけど、自分からすすんで農業にとりくんでいる」と見ています。また、満足に家族と夕飯をともにできないサラリーマン時代の宏明さんを見てきたことも、宏明さんの就農の意志を受け入れた理由の一つでした。

 晩酌を交わしながら、将来の農業についてよく話をするという義父と息子。「消費者の目に見える農業」がめざす方向です。

 「以前の市場は、安い時もあれば高い時もあったと聞いていますが、今は輸入で下がりっぱなしです。やはり自国の農産物を主流にしてもらわないと…。その点、センターの価格は安定していて生活のメドが立ちます」

 一年半前に長男の昂樹(こうき)くんが誕生し、父親と祖父になった宏明さんと和男さん。農業への情熱と暖かい家族が、日本の農業を支えています。

(新聞「農民」2001.1.22・29付)
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2001年1月

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