アジア民衆キャラバンに参加して住民の健康破壊をする国際稲作研入沢牧子
「アジア民衆キャラバン2000」(主催、農薬行動ネットワーク・アジア太平洋、十一月十三日〜三十日)の最終地フィリピンの行動に、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表として参加しました。 この行動は「毒のない土地と食べものを」というスローガンで、農薬と遺伝子組み換え反対、WTOと多国籍企業の支配に抗議するもので、フィリピン行動には、インド、バングラディシュ、インドネシア、タイ、マレーシア、そして日本から参加しました。 エストラーデ大統領の辞職を要求する国民総決起集会の時期と重なり、キャラバンの最後はそこに合流して十万を超える大群衆の前で、農薬の被害と農民(小作農)の苦しみの現状、それを生んでいる多国籍企業の支配、遺伝子組み換え作物によって環境が悪化している状況などを訴えました。農民と直接対話して その後私は、国際稲作研究所(IRRI)のある南部に向かい、IRRI周辺に住む小作農民の人たちから直接、農薬やバイオ被害について生々しい話を聞くことができました。 最初に訪ねた方は、フィリピンで目上の人を尊敬して呼ぶときに「カ」をつけて呼ぶ、「カデリン」という六十歳代の女性。小柄な痩せたインディアンを思い浮べる三つ編みで、笑うととても可愛い人でした。農業被害は、八州に及んでいますが、ここはIRRIの実験農場の中心なので、被害は最もひどく、現在、IRRIに対して抗議してたたかい、自主耕作、独立の運動を進めているそうです。白血病や心臓疾患が 一九六○年代にフィリピン大学ロスバニョス校のキャンパス内にIRRIが入り、一九七五年にIRRIに土地が支配されると、七七年ころから農家の人たちは病気を訴えるようになったと言います。 「私の二人の甥が白血病で死んだ。また義理の兄の一人は心臓疾患となり、もう一人はIRRIの育種部で働いていたが、常にだるく、虚弱体質となり、頭も働かない廃人状態になっている。 この辺の人たちは、マスクも手袋もなく、靴も履かず半ズボンで農薬散布などの作業をさせられてきた。白血病や心臓疾患の症状があり、農薬を撒いた後は息苦しく、下痢症状の報告もあった。農場には川も流れていて、その川の魚も食べてきた。 ある家族は、六人兄弟のうち三人を次々に心臓病で亡くし、三人になってしまった。八〇年代になると突然死が出始めた」 彼女は、いま被害者の会の代表をしています。 (つづく) (遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン運営委員)
(新聞「農民」2001.1.15付)
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[2001年1月]
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