高濃度、基準値の3.4倍もホウレンソウなど冷凍野菜から農薬毒性強い殺虫剤すべて開発輸入品
農民連食品分析センターは十二月七日、市販されている冷凍ホウレンソウなどから残留農薬を検出したと発表しました。 分析センターが分析した冷凍野菜九品目のうち、「ニチレイ ほうれん草」からは、クロルピリホス、マラチオン、ジコホール、シペルメトリン、BHC、DDEの六種類の殺虫剤農薬を検出。「フローズンベジタブル 便利冷凍野菜ホウレンソウ」からは、シペルメトリンとフェンバレートが見つかり、「セイユーファインセレクト ヤングインゲン」からはシハロトロリンの痕跡が見つかりました(表)。とくに「ニチレイ ほうれん草」には、クロルピリホスを安全基準値(〇・〇一ppm)の三・四倍も含有しており、明らかに基準違反。本来、輸入は認められないものです。クロルピリホス(商品名はダーズバン)は、白蟻駆除などに使う殺虫剤で、毒性が強いためにアメリカでは使用が規制されている農薬です。
食品分析センターが、基準値を超える農薬を検出したのは、中国産ゴボウ(昨年10自18日分析)以来。冷凍野菜の分析は、生鮮に軍配が上がった生鮮・冷凍ブロッコリーのビタミンC含有量 比較に次いで行ったものです。 港での検査ない輸入冷凍野菜「旬の野菜をおいしくパック」「便利で安心 冷凍野菜」……手軽さを武器に、急速に普及してきた「冷凍野菜」。ポストハーベスト農薬を使用しないので安全だと宣伝されてきました。それなのになぜ、こんなに大量の農薬が残留していたのでしょうか? 農薬が検出されたのは、いずれも大手冷凍食品企業やスーパーが中国で開発輸入したものです。千葉・多古町旬の味産直センター主催の中国農業視察(9月30日〜10月3日)の参加者は、冷凍工場近くの畑数カ所で、収穫間際のホウレンソウへの農薬散布を見かけています。 さらに農民連食品分析センターの石黒昌孝所長によると「安全基準をオーバーしたものが水際のチェックを逃れて堂々と輸入されている。というのも、厚生省は冷凍野菜の残留農薬検査はやっていないからです。また、厚生省のモニタリング検査で生鮮ホウレンソウから残留農薬違反が見つかったが、すでに、消費者の口に入ってしまい、回収はゼロという事態が実際に大阪であった」といいます。 激増する輸入品が学校給食にも冷凍野菜の輸入は、九九年に七十七万四千トン、九年間で二・二四倍に増えています。自給率はわずかに一割。そのうち冷凍ホウレンソウは四万四千トン。九年間で十倍とものすごい増加ぶりで、自給率はやはり一割。ほとんどが中国からの輸入です。中国人はホウレンソウをほとんど食べないので、完全に開発輸入です。冷凍ホウレンソウは、学校給食にもかなり使われており、子どもの健康への影響が心配されます。
(新聞「農民」2001.1.15付)
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[2001年1月]
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