異物混入のウラに…極秘の研究所が存在TBSテレビで放映された「異物混入の夏」反響よぶ
TBSテレビの報道番組「サンデーモーニング」で、「異物混入の夏」という特集が放映され、その驚愕すべき内容が反響を呼んでいます。
公表されているのは氷山の一角番組では、メーカーからの依頼で食品の異物混入を研究する、極秘の研究所を紹介。大阪にあるこの研究所は、(1)食品メーカーから混入異物の画像や異物、食品を送ってもらい(たいていは昆虫)、(2)蓄積してある何万というサンプルとつきあわせて種類を同定、(3)そこから考えられる混入ルートを調べて対応策をアドバイスする、といいます。これまで見つかった混入異物は、ワラジムシ、アメリカミズアブ、ハツカネズミ…しかしこれらはすべて公表されません。いま騒動になっている物も「ほんの氷山の一角」と研究員は言います。企業は出荷前に異物混入が見つかれば“騒動”を防げるというわけで、この研究所の名前はもちろん、これまでの分析数、依頼メーカー、食品名など、秘密保持は徹底しています。 六月に雪印乳業の食中毒事件が起こってから、依頼件数は急増。研究員は「企業がいま一番神経を使っているのは、混入事故そのものよりマスコミなどへの対処ばかり。製造工程や品質管理をどうするかに目が向いていない」と指摘します。
雪印食中毒以降保険見積り10倍しかしさらに驚かされるのは、保険会社がメーカー向けに“異物混入保険”ともいうべき「生産物品質保険」を設定していること。保険の中身は異物混入による売り上げダウン、回収費用、広告宣伝費、損害賠償、裁判費用まで含まれます。パンフレットには「企業へのダメージ、お守りします」の文字が踊り、雪印以来、食品企業からの見積り要請は十倍に増えたと言います。この保険会社は、いみじくも保険の本質をこう語ります。「企業にとっての危機をいかに小さくするかを担保する保険」と。この異物混入保険しかり、混入分析の研究所に群がる食品企業しかり、ここにあるのは「企業の利潤をいかに守るか」という視点だけです。食べる側の消費者や市民の安全、「食」の安全などはまったく出てきません。 食品への異物混入は、リストラ・首切りによる人員不足、臨時雇用による技術やモラルの低下といった企業の利潤追求の姿勢に、大きな警鐘を鳴らしています。
(新聞「農民」2000.9.18付)
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[2000年9月]
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