研究交流集会での特別報告みんなで増やした新聞が地域情勢を変える力新潟・西蒲農民連 今井 健
ようこそ新潟の地においでくださいました。 みなさん、弥彦山に登って新潟平野を見てください。真っ平らで典型的な水田単作地帯です。 この日本一のコメ所は日本の米農政の縮図です。私たち西蒲原農民連は、「減反する人もしない人も、ともに考えよう日本の農業を」をスローガンに、押し付け減反に反対するたたかいを通じて九七年六月、五自治体で会員十七人、新聞読者三十人で結成されました。 現在、会員三十八人、新聞読者百三十三人をもち、大会決議「数十万の農民連建設をめざして、新聞『農民』の拡大を先行しよう」を合言葉にコツコツみんなでやっています。
農機具屋、肥料屋さんにも訴え私たちは、新聞の拡大目標を当面できるだけ早く百五十部にしたいという目標をもっていますが、自主性を尊重し、決して割り当てはしていません。なのに途切れたのが二カ月だけで持続的に毎月増えています。これは農業に関する情報が行政側や農協側のものしかなく、展望が見えない農家との対話で、新聞「農民」が唯一共感を得る新聞だからこそ、組合員一人一人が「あの人に読んでもらいたいナ」と、仲間を増やそうという強い自覚を持っているからです。特定の人だけが頑張った結果ではありません。こうして半数以上の人々が成果を挙げ、成果を挙げられない人もまわりの農家に購読を訴えています。 こういったことがわが西蒲農民連、特に弥彦支部の特徴です。 読者の対象者は相手を選びません。隣近所、農機具屋さん、肥料店、田んぼであった人、自分の家に出入りする人。政治的には保守であっても、一生懸命ものを作っている人ほど購読してくれます。配達集金も分担しています。読者が増えなければ会員は増えません。読者が増えれば集落の情勢を変えてくれます。 最近の例ですが、農業関係の集会でいつものように、農協側が押し切ろうとしたら、農家からの発言が相次ぎ、しかも農家の共感が得られる内容だったために、押しきれなかったことがあります。その発言者はほとんどが読者と会員でした。機関紙のもつ重要な一面だと思います。このような読者を一日も早く仲間に迎えたいと思います。
会員にしてくれと読者の方から新聞「農民」の読者が今年、埼玉の市場で農民連産直コーナーのセリをしているのを見て感動し、家にも帰らず「会員にしてくれ」と会費をもって私のところへ来て会員になりました。当地は、自民党の貿易対策特別委員長としてコメの関税化前倒しや、自主流通米の値幅制限撤廃で悪質な役割を果たし、この衆院選で落選した桜井新の地盤です。小林代表常任委員が、昨年の大会で「数十万の機関紙があったら、関税化の前倒しはあんなに簡単には許さなかっただろう。悔しい思いをバネに新聞を増やし世論を喚起しよう」と明治維新の高杉晋作の例を出して訴えました。 私は九回大会直前に加入し、大会で発言させていただき、そこで皆さんから大きな元気をもらい、このコメ所を守っていくために、農民連の一員として仲間作りを進めていこうと肝に銘じて帰ってきました。 少しずつですが今、みんなに気持ちが通じてきたようで、さらに全国に呼応し奮闘したいと思います。十三回大会に向けてともに頑張りましょう。
(新聞「農民」2000.9.18付)
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[2000年9月]
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